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夏油side
「夏油様?今日、なんか元気?」
「あれ、バレちゃったか、菜々子」
「なになにー?なんかあったの?」
いつも通り控室の椅子に座っていると、美々子と菜々子がじゃれついてくる。
察しのいい彼女らには、何かがあったことが分かったらしかった。
「ちょっと良いことがあったんだ。でも内緒」
—— 離反なんかさせたんだ。
これ以上、Aをこちら側に踏み入らせるわけにはいかなかった。
今の自分の立場や活動は成就するまで隠し通すつもりだ。
「ええー、なんでよ!教えてくれても良いのに」
「内緒だよ。ほら、もうすぐ家族が集まる」
準備してきて、と2人を送り出す。
今朝目が覚めたら、隣でAが健やかな寝息を立てていた。
自分で連れ帰っておきながら、これは夢なんじゃないかと何度も目を擦った。
『ん…すぐる…』
まだ寝ぼけている状態ですりすりとよってくる可愛い生き物に、朝から打ちのめされる。
美々子と菜々子が出て行ったドアを見つめる。
全てを捨てて双子を育てて10年。
もう彼女たちは家族みたいなものだった。
それでも、やっぱり
「…特別だよ」
Aが自分にとってどうしようもなく特別な存在だということを、痛感せずにはいられなかった。
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せつな - chiroru...さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。他作に比べ勢いで書いてしまっている節があり、読みづらいところがあるかもしれませんが、これからも読んでいただけると嬉しいです! (10月2日 1時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)
chiroru...(プロフ) - 続きめっちゃ気になります!切ない系なのがまた良いです!更新頑張って下さい、応援してます! (9月29日 17時) (レス) @page22 id: eb897bce76 (このIDを非表示/違反報告)
せつな - 掛け持ち失礼します…!どちらも頑張って更新しますのでよろしくお願いします。 (9月28日 22時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せつな | 作成日時:2023年9月28日 21時