25. 夜蛾side ページ25
夜蛾side
まばたきもしなくなった悟が、ぽろ、と涙をこぼした。
「学長」
見たこともない弱った姿、蚊の鳴くような声。
ぽろ、ぽろ、と綺麗な瞳から涙がこぼれていく。
「俺、また、何か間違えちゃったのかな」
そこにいたのは子供だった。
あの日の悟だ、そう思った。
「なにも思いつかない、Aが俺をおいていく理由」
「一番近くにいたつもりだったのに」
「また、なにも感じ取れなかったのかな」
感情のこもらない呟きと、流れ続ける涙。
「ダメだね、俺…」
そう言ったきり何も言わなくなった悟の姿に鼻がツンと痛くなり、思わずもらい泣きしてしまう。
「クソッ…」
2度も生徒を、愛弟子を。
傑が離反した後、Aと悟が二人三脚でバランスを保ってきたことは知っている。
側で見ていた分、おそらく本人たちよりも、もっと。
2人のバランスが崩れそうな時は、いつも近くで見守る硝子がそっと支えてやる、そんな危なっかしさで、この10年、やってきたんだ。
突然身体を、心を預けるところを失った悟が、またやっていけるのか分からなかった。
傑に加えて、Aまで…
…傑?
「「っ」」
お互い何かを思いついたようで、悟と目が合った。
「—— ねえ、もしかして」
「「…傑だ/傑なんじゃないか」」
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せつな - chiroru...さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。他作に比べ勢いで書いてしまっている節があり、読みづらいところがあるかもしれませんが、これからも読んでいただけると嬉しいです! (10月2日 1時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)
chiroru...(プロフ) - 続きめっちゃ気になります!切ない系なのがまた良いです!更新頑張って下さい、応援してます! (9月29日 17時) (レス) @page22 id: eb897bce76 (このIDを非表示/違反報告)
せつな - 掛け持ち失礼します…!どちらも頑張って更新しますのでよろしくお願いします。 (9月28日 22時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せつな | 作成日時:2023年9月28日 21時