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22. Myside ページ22

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「一緒に来るかい?」


あの時誘ってくれなかったこと、

相談してくれなかったこと、

突き放されたこと、

ずっと恨んでた


でもいざ待ち望んだその言葉を口に出されてみれば、思い浮かぶのは悟の顔だった。


『……ぁ、』


悟はまた一人ぼっちになっちゃうのかな
それとも今はみんながいるから大丈夫?
私って悟にとって何なんだろう
おいて行っても大丈夫なのかな
私がいなくなったら悟は悲しむのかな?

 
 
—— また、あの悲しい顔させちゃうのかな
 
 
 

10年前のあの日、訳がわからないと困惑していた少年の顔を思い出す。


 
「行ったら戻れない。無理強いはしない」

 
 

でもチャンスは今日だけ。

そんなことは言われなくても分かった。


「…悟が心配かい?」

『……』


傑の問いかけに、何と返せば良いか分からずに黙った。

傑があの時と同じ、困ったようなハの字の眉で笑う。


「図星だね。そりゃそうだ、10年も一緒にいたんだ」

『うん…』
 
 

夕暮れ時、ひぐらしが鳴いていた。

 
 
「…私はもうそろそろ行かなくちゃいけない。
 会えてよかったよ、A」


出発するような言葉を吐きながら、傑の両手は私の両手を包み込んでいて、目は名残惜しそうだった。


何人の人を殺していたって、この目は、嘘をついている目じゃない、そう思った。


—— 気付けば、口が勝手に動いていた。


『すぐる』

「なんだい」


あの優しい笑顔で、傑がこちらに微笑みかける。


『…すぐる、さみしい?ひとりぼっちなの?』


傑が目を見開いた。

しばらくして、困ったな、と傑が笑う。


「…うん。人には囲まれているけど、ずっと、1人だよ」


その言葉に嘘はなかった。


『10年も』

「うん」


そうだ。

私が、悟が辛くて辛くて仕方がなかったあの10年を、

傑は、1人で過ごしてたんだ。


—— 答えは決まっていた。

 

『…傑、私も連れてって』

「…A、本気かい」


傑が念を押すように確認する。


『うん…』

 

死刑対象との交流すら立場が危ういというのに、ましてや離反。


この先自分がどうなるかなんて分からなかった。

 


でも、

それでも、

そんな嬉しそうな顔で泣かれたら、

 

また傑を1人にするなんて、絶対に言えなかった。

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 夏油傑   
作品ジャンル:アニメ
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せつな - chiroru...さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。他作に比べ勢いで書いてしまっている節があり、読みづらいところがあるかもしれませんが、これからも読んでいただけると嬉しいです! (10月2日 1時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)
chiroru...(プロフ) - 続きめっちゃ気になります!切ない系なのがまた良いです!更新頑張って下さい、応援してます! (9月29日 17時) (レス) @page22 id: eb897bce76 (このIDを非表示/違反報告)
せつな - 掛け持ち失礼します…!どちらも頑張って更新しますのでよろしくお願いします。 (9月28日 22時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:せつな | 作成日時:2023年9月28日 21時

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