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19. 家入side ページ19

家入side


「…で、このザマか」

「しょうごぉーー」


めんどくさい。めんどくさすぎる。

酔った五条に呼び出された。

聞けば、生徒にAとの関係を(間違った形で)勘づかれ、現実との差に悲しくなって、酒に手を出したらしい。


「もう僕じゃダメなのかな」


ぺしゃ、とテーブルに潰れた五条が呟く。


—— もう10年もこの関係を横で見ていた。


「ねぇ硝子、聞く?Aのベッドでの話。
 もう縋り付いてくる時なんか、かわいくて…」

「聞くなんて言ってないぞ」


聞いてもない親友の夜の話を聞かされ、ハァ、とため息をついた。


「なのにさ。この間もさ。疲れて寝ちゃったAを抱きしめて寝てたらさ、寝言で傑…って」


しょぼ、という効果音が似合いそうな顔で、五条が落ち込んでみせる。

やめておけば良いものの、また五条がぐいっと酒を煽った。


「一緒にいるのもきもちよくしてあげたのも僕なのに、夢の中じゃ傑といるんだ」


あたりを見回せば引く手数多も良いところだろうに、

このエセ有料物件はたった1人の親友に女を奪われたままだ。


「…私はどっちでもいいがな、Aを傷つけることはするなよ」

「うん…」


五条の親友が夏油だったように、

私の親友はAだった。

Aが傷つかず、幸せになってくれさえば、それで。

そう思って今までこの歪な関係を見守ってきた。


「Aはお前も同じだと思ってるんじゃないか?
 その…言いにくいが」


Aは何も考えないために関係を続けている。

それは教師職に加えて激務をこなしている理由とも同じだ。


「お前はアイツに振り向いて欲しくて、繋ぎ止めるために頑張ってるつもりだろうが
 そもそもアイツにとってお前とのそういう関係は」

「…うん。知ってるよ」


昼間の煩い五条が嘘のように、しょんぼりと五条が項垂れる。


「知ってる…知ってるけど、でもやっぱり」

「…」

「…僕を見てほしいって思うんだ
 僕、欲張りすぎなのかなぁ」


この世の全てを手に入れたような男が、好きな女に振り向いてほしいなんていう、世間から見れば呆れるほど小さな小さな願いを、世界で1番の欲張りだと考えて困ったように笑っている。


「……私からは何もできないよ。アイツはこの10年過去に生きてる。
 救い出せるのはお前だけだと思うし、だけど…
 だけど、救い出すのがアイツのためなのか、私にはわからない」


間を開けて、五条がうん、と蚊の鳴くような声で頷いた。

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 夏油傑   
作品ジャンル:アニメ
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せつな - chiroru...さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。他作に比べ勢いで書いてしまっている節があり、読みづらいところがあるかもしれませんが、これからも読んでいただけると嬉しいです! (10月2日 1時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)
chiroru...(プロフ) - 続きめっちゃ気になります!切ない系なのがまた良いです!更新頑張って下さい、応援してます! (9月29日 17時) (レス) @page22 id: eb897bce76 (このIDを非表示/違反報告)
せつな - 掛け持ち失礼します…!どちらも頑張って更新しますのでよろしくお願いします。 (9月28日 22時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:せつな | 作成日時:2023年9月28日 21時

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