12. Myside ページ12
.
—— 帰る?どこに
悟に帰ると言われ、最初に出てきたのはその疑問だった。
私の帰る場所は傑だった。
…いや、正確に言えば、傑と悟、硝子が笑って迎えてくれたあの場所だ。
昨日の傑の後ろ姿を思い出して、もう帰るところなんてないのだという現実が改めてのしかかってくる。
「…嫌か?」
やだよ。嫌だよ。そんなことわざわざ聞かないでよ。
でも、そう口に出して肯定してしまったら最後、一晩耐えてきた涙をこぼしてしまいそうで、私は黙っていた。
肯定と受け取ったのか否定と受け取ったのか、悟が続ける。
「…報告は俺がする。着いたらお前はそのまま寮に帰れ」
私だって、ずっと一緒にいたんだ。
顔を見なくても分かる。悟が平静を装っている事。
きっと頭の中は私と同じくらい、もしかするとそれ以上の疑問と怒りと悲しみが、ぐるぐると渦巻いているんだろう。
先生に会わなくていいというのは、不器用な悟なりの気遣いだ。
『…うん』
でもお礼は言わなかった。
気遣いに感謝の意を示せば最後、自分がどうしようもなく傷ついていることを認めてしまうような、そうしたらもう元には戻れないような、そんな気がしたのだ。
491人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
せつな - chiroru...さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。他作に比べ勢いで書いてしまっている節があり、読みづらいところがあるかもしれませんが、これからも読んでいただけると嬉しいです! (10月2日 1時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)
chiroru...(プロフ) - 続きめっちゃ気になります!切ない系なのがまた良いです!更新頑張って下さい、応援してます! (9月29日 17時) (レス) @page22 id: eb897bce76 (このIDを非表示/違反報告)
せつな - 掛け持ち失礼します…!どちらも頑張って更新しますのでよろしくお願いします。 (9月28日 22時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:せつな | 作成日時:2023年9月28日 21時