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2. 夏油side ページ2

夏油side


あれは確か、皆で遊園地に遊びに行った日。

それから悟は本当に「一生のお願い」というキラーワードを使わなくなった。


「毎日、1日に何回も言ってたのに、ウケるね。
 Aに言われたこと気にしてるのかい?」

「うるせー」


図星なのか、悟がわざとらしく顔を顰めてみせた。

四つ並んだ机、悟の奥からこちらを覗き込んだAがクスクスと楽しそうに笑う。


『ねぇねぇ、本当の一生のお願い、みんなはいつ使う?』

「それって何でも叶うの?」

『うん!』


そういって元気に頷く私の恋人は、足をぶらぶらさせながら頬杖をついた。

私は何かなぁ、としばらく天井を見つめる。


『皆でずっと笑ってられますようにって、それが叶うなら今使っちゃってもいいかも!』


満面の笑みでそう言い放つ彼女に、悟がハァ?と片方の眉を上げて見せた。


「馬鹿、何当たり前のこと言ってんだ。
 そんな予定調和に使うな。
 知ってるのか?一生のお願いって、一生に一回しか使えないんだぞ」

『知ってるもん!それ教えてあげたの私じゃん!』


ガタ、と立ち上がってそう言うAに、悟も立ち上がって口論を始めた。

ギャーギャーと騒ぎ始めた2人を、一番奥に座る硝子が煙草をふかしながら楽しそうに見つめている。


「ふふ、この間まで乱発してた人の発言とは信じ難いね、全く」

「相変わらず2人とも餓鬼だな」

「全くだよ」


 

 

『—— じゃあ悟のお願いは何なの!』


 


拗ねて頬を膨らませたAの叫びに目を丸くした悟が、

うーん、そうだな、と顎に手をやった。


「俺がどうしても欲しくて、でもどんなに努力しても俺自身の手では手に入れられないもの、が出てきた時…だな」

「なにそれ。
 めっちゃ抽象的じゃん。例えば?」

「あ?ねーよそんなもん」


当たり前だろ、という顔で硝子を見返す悟の様子に、Aが吹き出した。


『あはは、なさそう。だって悟だし。
 欲しいものなんて何でも手に入るよ』


六眼持ちの無下限呪術使い、良家のボンボン、そしてこの美貌。


「言えてるね。
 じゃあ悟はもう一生のお願いを使う予定はないってことかな」

「ま、そういうことだな」


なぜか悟は満足そうに腕を組んで頷いた。


『ね、傑は?』


何度となく見た、無邪気な笑顔をAがこちらに向ける。


「私?」

『うん』

「そうだなぁ… ふふ、内緒にしとくよ」

『えー!ケチ!』



—— どうか、あなたが幸せでありますように。

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 夏油傑   
作品ジャンル:アニメ
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せつな - chiroru...さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。他作に比べ勢いで書いてしまっている節があり、読みづらいところがあるかもしれませんが、これからも読んでいただけると嬉しいです! (10月2日 1時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)
chiroru...(プロフ) - 続きめっちゃ気になります!切ない系なのがまた良いです!更新頑張って下さい、応援してます! (9月29日 17時) (レス) @page22 id: eb897bce76 (このIDを非表示/違反報告)
せつな - 掛け持ち失礼します…!どちらも頑張って更新しますのでよろしくお願いします。 (9月28日 22時) (レス) id: 617609c1ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:せつな | 作成日時:2023年9月28日 21時

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