夫がストーカーだった件【五条悟】

05.休憩ならず ページ6

その後も悟は再び私にくっついて離れなかった。流石にトイレの時は離れてくれたけど。


そんなこんなで既に夕方。私はいつもより二倍、いや三倍もの疲労感を感じながらリビングにある机に突っ伏した。疲れた…昨日と変わらないことは特にしてないのに！！



『はぁ…』


「なーにため息ついてんの、A♡」



すると私と対面するように座っていた悟が私の頭を小突く。その余裕そうな甘ったるい声色に物凄く腹が立つ。悟はしがみついてただけだけどさぁ…!



『悟のせいで疲れてるの。わかるでしょ？』


「エッ…!!僕のせいで疲れてくれてるなんて嬉しいなぁ」



キッと睨んでそう言えば、悟はそう言って蕩けた笑みを浮かべた。澄んだ青い瞳には私しか映っていない。それにゾっすると同時に、その瞳に囚われそうになった。まるで催眠術に掛かったかのように思考が回らなくなる。



「A？」



悟の不思議そうな声と顔にハッとした。私ったら…！
飲み込まれそうになった。危ない、今度からは気を付けなくては。と気を引き締め、私はなんでもないと悟に告げ、紅茶を口に含んだ。



「A〜」


『何？』


「それにびやくが入ってるって言ったらどうする？」


『ごほっ…！？』



悟のびやく発言に、私は思わず紅茶を吹き出しそうになった。危ない危ない…っ待って、びやく!?



『び、びやく…？？入ってるの！？』


「ん〜？どーかな？」



その意味深な返答は私の不安心を煽りに煽る。どうしよう、私飲んじゃったよ!?本当に入れられてたら…。その後のことを考えただけでゾっとし、血の気が引いた。口元がひくひく動く。



そうしていると悟はニコニコして頬杖をつき、私の頬をツツ…と撫でた。



「大丈夫。僕いるじゃん」


『ま、さか』



余裕そうな笑みにサァと顔が青ざめる。まさか本当に＿＿



「ってそんな訳ないじゃん！嘘だよ♡」


『は？』


「冗談だよ。じょーだん♡本気にしちゃって…Aったら可愛い♡」



ニンマリ笑って私の紅茶の残りを飲み干した悟に、久しぶりに怒りがわいた気がする。



『〜っ！！ふざけないでよ！』



まったく、休憩する暇もない。

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