2話 ページ2
＠編集部
結構おしゃれな感じなんだな。
「ニノ、ちょっといい？」
「はいはい。あれ？A？」
ん？誰だっけ。会ったことあるかな？
「A覚えてないの？中学生のとき、近所に住んでた。」
そういえば、お兄ちゃんが仲良くしていた男の子が4人いた気がする。
「まあ、無理もないよ。A高校からフランスでしょ。」
そこまで詳しいとしたら。
『和也くん？』
「よくわかったね。」
あの野球少年だった和也くんがファッション誌の副編集長？
信じられない。
「じゃ、俺はここで。あとはよろしくね。」
『あ、うん。お兄ちゃんありがとね。』
「えっと、まずは編集室の案内からする。ここが編集者とかアシスタントがいるフロア。で、そっちが打ち合わせ室。」
結構広いな。悪くない。
「それでその階段の上が俺らの部屋。」
ん？
『俺ら？』
「うん。編集長と副編集長は同じ部屋だから。」
そうなんだ。
ってことは四六時中一緒ってこと？
あ、でも。
『きれいな部屋。』
「うん。副編集長になったばっかりだから、俺もまだあんまり使ってないけど冷蔵庫も給湯器もあるから結構便利。そろそろミーティングだから、行こうか。案内するよ。」
＠ミーティング
「え、うそ。(名字)A？」
「やば。ELLEの元編集長だよね？」
「顔ちっちゃ。モデルみたいだね。」
私のこと知ってくれている人、いるんだ。うれしいな。
頑張らないと。
「みんな知ってると思うけど、(名字)Aさんです。今日から編集長としてrunwayの統括をしてもらいます。」
『(名字)Aです。よろしくお願いします。』
「じゃあ、具体的な方針とかあれば、お願いします。」
んー。そうだな。
『クオリティーは世界で勝負できるぐらい素晴らしいので、このままいきたいと思います。ただ、宣伝戦略が悪いかなと思っています。』
「宣伝？」
『はい。データを見たところ、驚異のリピート率でした。だから、売上アップには新規開拓が必要だと考えられます。日本の若い方々はSNSから情報を得ているようなので、今後はSNSを活用していきます。』
「あの、でも。公式のSNSはありますよ。」
そうなんだけど。
『この雑誌では、編集者の顔出しもしていると聞きました。一人ずつSNSを開設していただきたいんです。』
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作者名：美鈴 | 作成日時：2021年7月4日 21時
