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慣れない寝台。
枕なんて、在ったためしがない。
野宿か、廃業に成った店に忍び込んでは、我慢して寝る。
そんな生活を続けているうちに、たいてい何処でも眠れるようになったのだが___
毛布を頭まで被ると、ふわり、と何の花だろうか、善い香りが漂う。
『眠れないの?』
「ひえ!?ね、眠れます!」
私の寝がえりが、彼を起こして仕舞ったのだろうか。
太宰さんの声が耳許から聴こえて、彼に背を向けて、眼を瞑るが、
ぎゅ、と太宰さんに抱きしめられてしまう。
『寝不足では困るからね。眠るまで離さない。』
「!?ッ、そそ、そんなことしたら眠れません!!」
『では代わりに接吻でもしてあげようか?』
「要らないです!」
『では此方に向きなさい。』
なんで、と云いたいところで在ったが、恋人だとか何とかで云い包められてしまうのだと観念し、太宰さんの方へ体勢を変える。
『善くできたね。』
そうやって私を、彼の胸板に押し付けて、子供をあやす様に抱きしめる。
「く、るし、い...」
『離さない。』
「寝れません...」
『眠っておいた方が善いよ。じきに君を厭でも寝かせないコトになるから。』
「__なんですかそれ」
『鈍感だねえ。』
抱きしめる力が緩くなると、次第に私もとろりと深い眠りに誘われた。
『本当に__君を愛しているのにねえ。』
そういって、私の寝顔を愛しく見詰める太宰さんの事を、私は知る由もない。
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うどん(プロフ) - かりしゅまさん» どういたしましてどういたしましてどういたしましてどういたしましてどういたしまして (2018年10月11日 20時) (レス) id: d550fea9be (このIDを非表示/違反報告)
かりしゅま - ありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうありがとうございますありがとうございますありがとうございます (2018年10月10日 22時) (レス) id: b0789ec004 (このIDを非表示/違反報告)
うどん(プロフ) - まんじゅうねこさん» ティッシュあげます (2018年9月30日 21時) (レス) id: d550fea9be (このIDを非表示/違反報告)
うどん(プロフ) - 月瀬ゆうめさん» そーれねっ (2018年9月30日 21時) (レス) id: d550fea9be (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうねこ - やばい…太宰さんのツンデレが鼻血モノ…(出したくても鼻血出せない人) (2018年9月23日 15時) (レス) id: dd9eae3b3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うどん | 作成日時:2018年8月15日 20時