太宰さん愛情表現が激しすぎます。【短編集】

Page6前編「誘」（黒の時代） ページ12

『太宰さん怖いです』番外編です。



＿＿＿＿

「太宰さん...偶の休暇ですから何処かに＿＿＿


『駄目だ。』

執務室に、冷たい声が響く。

「.......」


一応恋人でもあるし、偶には何処かで食事...は気まずいか...


「あの.....何か私が出来ることって...」

『無いよ。消えて呉れたまえ。』


ぐさり


何時も、何時も云われた言葉だけど、

刺さる...


「ごめんなさい...」

それきり、彼と私の間に沈黙が走った。


＿＿＿＿＿＿＿
＿＿


『太宰がか？』

「そうなんですよ...」

と或るバーで、私と織田先輩は酒を飲んでいた。


『そう云えばA、酒飲んでも平気か？』


「あ＿＿＿...まぁ。一杯だけなら」

表情を無理に作って嗤うと背後から足音がした。

『貴女...まだ未成年でしょう。太宰君の真似ですか？』

「安吾さん....」

『此処に貴女が来たと云う事は...また太宰君と何かありましたね？』


「貴方には凡てお見通しですね。」


はぁ、と溜息をつきながら安吾さんは席に腰を下ろすと、

『其の話。詳しくお訊かせ下さい。』

『俺も訊くぞ。』


「え、えーとかくかくしかじか...」


＿＿＿＿
＿＿＿

話が終わると安吾さんは崩れた髪を掻きあげて、

『要するには太宰君に一杯食わせたいと....？』

「はい...」


『そうだなぁ...太宰が喜ぶ事....』


『太宰君は貴女がして呉れる事凡て喜ぶと思いますがね。』


『名前呼びでもしたらどうだ?』


「そ、それって...」

『治。って呼んであげてください。』

「ハードル高いですって！！」

＿＿＿＿
＿＿

後編→←後編

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す