太宰さん怖いです。【短編集】

Page9前編『太宰さんが浮気した。』 ページ22

太宰side


「首領。それは出来ません。」

首領に夜持ちかけられた任務の依頼。


ハニートラップ。

A以外で接吻するなんてありえない。


だから私は断った。


『ポートマフィアの相続が掛った任務なんだ。相手は情報組織＿＿＿』

私の無駄な抵抗は失敗に終わった。


---

『Aちゃん。明後日は急な出張なんだ。』


「了解です。私もお供します。」


『要らない。』


「え、でも幹部補佐＿＿」


『要らないと云っているのが聴こえないのか？』

嗚呼。違うんだよAちゃん。



私の中に少しの悪意が芽生えた。

以前は彼女に心を乱された事が何度も有った。

だから


仕返ししてやろう。



「では行ってくるよ。」


『どうか無理だけはしないでくださいね。』


「無理などないよ”楽しんでくるだけ”だ」

Aちゃんの表情が少し曇った。計画通り。



そして私は、任務を遂行しに街へ出た。



連絡手段も凡て切っておいたよ。

さぞつらい思いをするだろうね。


Aside

なんだったんだろう。

太宰さんが私を任務に同行させない日は無かった。


それに何を云ってもはぐらかして応えて呉れはしない。






「浮気？」





太宰さんが居なくなった執務室で独り、呟いた。

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