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番外編1 ページ35

荀渓side

俺の配属先は呉鳳明殿の妹君になった。
方や従兄の詠は呉鳳明殿。
いつも従兄である詠と比べられて、いつも彼より劣っていた俺は、またもかと思った。

しかし。


『荀渓、貴方も兄上の側近になりたかったでしょう。家督でも男でもない私の側近なんかではなく』

出会って開口一番に言われた一言。
目は静かにこちらを捉え、存外はっきりとした言葉だった。

「…いえ、滅相も」

『でもね』

此方の返事を待たずに畳み掛けた彼女を、ただ見上げる他できなかった。

『貴方は今から私の側近よ。貴方が不服でもそれは揺るがないわ』

有無を言わさぬ、強い瞳。

それから一息付いて目線を逸らすと、彼女はこう言った。

『…安心して、有能な人材は惜しいけれど、もし成果を上げてくれたら、直ぐに兄上の元へ催促してあげるわ。勿論、与えられた立場で発揮できない人に何を与えても無駄だけれど』

「…御意に」

そんなんだから、初対面の彼女は酷く厳然で冷静な、飴と鞭の扱いに長けた女性であった。
後からこの話をすると、めちゃくちゃ目線を逸らされる。

『あのね、いや、舐められたら困るなって思うじゃない。ほらやっぱりね?ええ。いや、違うのよ。いえ、違わないわ。貴方、行きたいなら今にでも兄上への催促状を渡すわ』

「いいですってばそれは」

はっきり言うと、この人に自分は魅了されている。
…それに、別の任務もあるから、この人の監視下から離れる事はできないし。

『てか、いつになったらその姫さん呼びは直るわけ?』

「んー?我らが姫さんはお気に召しませんか?」

『いや普通に私ただの娘だし』

「ただの娘が外交で相手に喧嘩吹っかけたり啖呵切ったり弱みに漬け込んだりします?マ?」

『…ごめん、心配させて』

「貴女の首が飛んだら俺の職も消えるんで」

『自分のかよ』

まあ、そういう事で。
そう言って笑うこの瞬間が、もっと続けば良い。

そう祈るこの時も、中華の何処かで戦は絶えぬ。




_____
なんだこの一次創作は。
ごめんなさい。次は必ず李牧出します。

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名無し46937号(プロフ) - 素敵な作品ですね。読んでてとても楽しいです!! (1月31日 23時) (レス) id: f091a3aa7a (このIDを非表示/違反報告)
お饅頭(プロフ) - いつまでも更新待ってますので!!安心して受験頑張ってください!応援してます!! (2023年4月26日 4時) (レス) @page38 id: c1e1b186de (このIDを非表示/違反報告)
ゆきもき - 続きをお待ちしております!!!!!大好きです!!!!!何卒無理せずお恵みくださいッッッ (2023年4月21日 22時) (レス) id: 73be847a92 (このIDを非表示/違反報告)
ぬるぬるさらさら - 返信ありがとうございます!10話の題名…「護」、お兄ちゃん護ってくれてるんだなって感じで好きです…あと6の「しゃらり」ってもしかして蒙恬のキャラソンから来てますか、?!!ありがとうございます!!! (2022年8月21日 21時) (レス) id: fac8821556 (このIDを非表示/違反報告)
にこつもみ_作者 - ぬるぬるさらさらさん» レスし忘れました💦 (2022年8月19日 22時) (レス) id: b558e55050 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にこつもみ | 作成日時:2022年8月7日 23時

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