8 ※残虐描写あり ページ8
「おはよー！」
「おはよ、Aちゃん、頑張ってね！」
「う、うん、頑張るよ」
私は昨日のことが胸に残ってスッキリしないまま朝を迎えた。
控室に向かおうとする私に、普くんとつかさくんが話しかけた。
「あー！いたいた、A！」
皆の前で抱きつくつかさくんに、冷たい視線がぶつけられる。
まあ、そうだよな…
「はぁ、はぁ…もうつかさ！何してるんだよ…って鶯坂さん…おはよ」
後から息を切らせて来た普くん。
ここ数日、私のことを見つめると、わざとらしく目をそらしてしまう。
「おはよ、今日は頑張ろうね！」
そう笑った私の笑顔を眩しそうに見つめる普くん。
「ねーねー、A、リハーサルやるってさ！」
つかさくんが私に話しかける。
「じゃあ、皆で行こ！」
私は、あんな凄惨な事故が目の前で起こるだなんてその時は思っていなかった。
ましてや、自分が狙われているなんて、思っていなかった。
「じゃあ、リハーサル始めます！」
女子生徒の声が響いた。
劇は順料に進んでいく。
普くんは照明を当てる。
つかさくんは歌を歌う。
劇は終盤に差し掛かる。
私は、最後の場面になり、舞台に出ることになった。
その時、幕が突然閉まり始めた。
端っこから、ぎゅううっと。
古い形式の幕はリールがむき出しだ。
舞台袖に立っていた私は、瞬く間に巻き込まれてしまった。
足に、刃がじわっと刺さっていく。
周りの人は、幕が閉じたのを誰かのミスだと思って係の人に注意しただけだった。
閉じていく幕、巻き込まれていく足。
私はこのまま、終わるの？
貴族の綺麗な色をした衣装は、瞬く間に赤く染まった。
そのまま、私の足はキレイに切り落とされてしまった。
叫びたかった。
でも、でも、不思議だ。
とても不思議なことに声は出なかった。
幕を操作していた人は私に一言、「ざまぁ」と吐き捨てて何処かへ行った。
その場に残されたのは、悪戯なことに歌係で独唱パートを任されていたつかさくんと照明係の普くんだった。
つかさくんはこちらを見て、
「わ〜、大変なことになってる…でもさぁ、そんな姿もキレイ、スキ」
と言った。
何だそれ…私はもう失血死が確定しているし、笑う気力も意識もないのに、完全な霊体なのに…
笑いたくなった。生きてるうちに言ってくれなきゃ意味ないじゃん。って何回も言ってたか。
普くんは、何も言わずにただただ震えていた。
一斉に走ったかと思うと、先生を読んできた。
周りには沢山の大人が寄ってきた。
そこからのことは、余り覚えていない…
続く
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