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それからというもの、私は特に意味もなく玄関で彼らを待つようになった。
他のクラスメートの誘いを断ってでもだった。
彼らと居たほうが、何杯も有意義な時間を過ごせる。
でも、表立って待っていれば例の如く沢山の記者やスカウトマンに追いかけられる羽目になる。
だから、待合場所は何処かの空いてる準備室。
全員が入ったら一緒に帰る。
それの繰り返しだ。
勿論、劇の練習もした。
つかさくんは舞台袖で歌う係、普くんは裏で小道具を動かす裏方だった。
その日も、私は彼らと帰っていた。
「鶯坂さん、大丈夫？最近、いじめられてない？」
「ううん、別にいじめられてるわけじゃないよ、多分」
「悩んだらオレに言ってね！いつでもグシャーって消してあげるからさ」
私は、数日前から誰かから嫌がらせをされていた。
台本を盗まれたり、破られたり、色々。
「それよりも私はあまねくんの傷のほうが心配だよ…そっちこそ嫌がらせとかないの？」
「別に俺は普通だよ。と、特に変わってないから」
「ア！いつもの曲がり角だネ！バイバイ！」
今日は、珍しくつかさくんから帰ろうと言われた。
まあ、明日が本番だし…仕方ないだろう。
学校祭の劇は明日が本番だ。早めに帰って、もう一度練習をしなければ。
そう思いながら、私は家に帰った。
「あら、おかえり。明日はいよいよ劇本番ね！お母さんたち、全力で応援するからね！」
「お父さんも見に行くぞ。それに書道と作文と絵画の入選したものが飾られているんだろう？Aのぶん、見に行かないとな」
ここだけ見れば、平和な家庭かもしれない。
うちの家庭はピアノ講師の母と大学教授の父を持つかなり裕福な家庭だった。
それ以外にも…
妹がいる。私は大事に思ってるし気にかけているけれども、私が家にいる時にはまるで居ないかのように扱われているのだ。時には食事すらも与えられず、部屋から出ることも許されないことがある。
「ありがとう、お父さん、お母さん」
「ホント、Aはとっても優秀ね。才色兼備ってやつだわ。それに比べてあの子ったら…」
「よせ…まあ、明日Aの学校祭に連れてくんだけどな。妹という建前上、置いていくわけにも行かない」
「そうね…はあ、何であの子がうちの子なのかしら。もっと優秀な子を生むんだったわ」
…よく、比べられる側は辛いって言う。そうだよね、妹への処遇を見ていれば分かる。
でも、もう片方も辛い。自分の意志とは関係なく、妹を傷つけている気がして…
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