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「あら、お帰りなさい。A…その子、連れて帰ってきたの？」
「だって、首に乗って降りないんですもん、話聞くまで」
とAは苦笑する。
「コラ、チビ。まーたAさんとお嬢に迷惑かけて！」
「エー、オレ迷惑なんてかけてないヨ？」
「迷惑かけてるだろすっごく！あの血痕を落とすのに俺等とお嬢がどれだけ苦労したか！」
「まあまあ夏彦さん落ち着いてくださいよ。多分この子も反省してますから」
「Aちゃんのそれ、ずっと聞いてるけど…反省したところなんて見たことないんだけどな…」
「オレだって反省してる！だって、こないだA怒らせちゃった後ゴメンネって言って許してもらったもん！
許して〜！のチューもした！」
「まーたチビはそうやって惚気けやがって！」
「私から見たらサクラちゃんと夏彦さんの方が惚気けてるように見えてるんだけど…」
「あら？これは惚気けてるんじゃないわよ？」
「そう、これはお嬢からの愛の…」
「夏彦が勝手に盛り上がってるだけ」
「そういう冷たい所もスキ！お嬢〜！」
うわぁぁんと泣きながらサクラに縋る夏彦。ここまで来ると、マゾヒズムの頂点かもしれない。
こんな風に日々賑やかに過ごしている放送室のメンバーだが、実は彼らこそが、
学園で起きている異変の主犯格であった。
怪異の噂を書き換え、生徒の中に流す。
それによって凶暴化した怪異が暴れまわる…
これが昨今の現状であった。
「ネーA」
「何？」
「オレの事、スキ？」
「うん…？うん」
そして彼はAにキスをする。
「ちゃんと言って？」
「…好きだよ、つかさくん」
少々ためらって、Aは言った。
「何でそんなに機嫌悪いの〜？怒ってる？」
「べ、別に怒ってないよ…」
ばつが悪そうにAは目をそらした。
「ソー？でもずっと今日怒ってるじゃん」
「怒ってないよ！ホントだって！」
「でも今怒ってる」
「…怒ってないってば」
意味ありげな声のトーンで話すA。
その声は今すぐにでも泣き出してしまいそうな声だった。
「じゃあ悲しいノ？」
「ううん、ほんとになんでも無いよ」
「ホントに〜？」
顔を近づけてくる彼に、Aは顔をそらした。
「今日はもう沢山ちゅーしたでしょ？だから今日は…」
「やっぱ今日はちょっと変だヨ、A」
今度は完全に口を閉ざしたA。
何かを思い出すような視線で、Aは空を見つめていた。
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