第百三十話 ページ42
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勝ちへの執着は、負けへの執着よりもましだ
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クラスメイトの制止の声を振り切って、寺坂君達は扉の向こうへ消えた。
まだまだ、結束がうちのクラスには足りないらしい。
そう言う私も、少なからず心のどこかで、この球技大会への不参加を考えていた。
なぜなら、私が『失敗作』であるが故。
あの黒幕的ポジションの理事長が言うには、他人の学力『など』を低下させるのが、私の呪いらしい。
つまり、もしかしたら私の存在が、E組の敗北に繋がるかもしれないのだ。
杞憂かもしれないけど、私だって己のこんな無意味な力の大きさや範囲は未知数。
だったら、リスクは少ない方がいいに決まっている。
「それにさ、かなり強ぇーんだうちの野球部」
その声にぱちん、とまるでしゃぼんだまが割れたように、思考を中断させた。それは、一つの私なりの結論が出たからでも、杉野君の言葉に反応したからでも無い。
強いて言うのなら、後者だが、私は杉野君の悲しそうな震えた声に驚いて彼の言葉に耳を傾けた。
「特に、今の主将進藤。豪速球で高校からも注目されてる。・・・・・・俺からエースの座を奪ったやつなんだけどさ」
「・・・・・・!!」
近くで話を黙って聞いていた渚君が、息を飲む音が聞こえた。
それは、私も同様で知らず知らずのうちにスカートの裾を握りしめていた。
「勉強もスポーツも一流とか、不公平だよな。人間って」
その言葉に、私は賛同してしまう。そして、同時に安堵した。
・・・・・・え?安堵、した?どういう事だ。自分で自分の考えに驚いてると、『それ』はやってきた。
(ああ、私だけじゃないんだ。なんて素敵な事なんだろう。苦しんでいる。不公平で苦しんでるのは、私だけじゃない!!もっと皆、苦しめばいい。落とされたものの気持を知れ。もっともっと苦しんで、皆不幸になっ――)
「ッ!!!!!!」
頭の中に、直接がんがんと『声』が響く。
なんだこれ。なんなんだこれ。恐怖で、体ががくがくと震えた。全身が粟立つ。気持ち悪い。
幸い、皆杉野君の話に夢中になっていて私の様子には、気が付いていない。
早く、早くどうにかしないと。
――く、喰われるッ!『彼女』に喰われてしまうッ。
「だけどさ・・・・・・殺せんせー」
嫌だ。もう嫌なんだ。やめてくれ。私はまだ、『彼女』に喰われるわけにはッ。
「だけど、勝ちたいんだ殺せんせー。善戦じゃなくて」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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ねるね(プロフ) - きっとホコさん、もう占ツク離れしちゃってるだろうし、私の、もと乃愛のこと忘れちゃってるだろうけど、なんだか久しぶりに来てしまったよ。全然ちょくちょく顔出せてなかった私が悔しい。占ツクで初めてどハマりした作品。ホコさん今でも大好きだよ。 (2018年4月3日 0時) (レス) id: 13459ee81f (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - 妹ちゃんいったい何者なんやぁぁぁぁぁぁっ← いつも楽しませてもらってます!これからも応援してるので頑張ってください!!(・∀・) (2016年11月19日 13時) (レス) id: 06f3d584d6 (このIDを非表示/違反報告)
ホコ(プロフ) - うーたん。さん» 続編出来ました!見てくださると嬉しいです!!ありがとうございます! (2015年5月5日 18時) (レス) id: a001dadb5e (このIDを非表示/違反報告)
うーたん。 - 続編!?とても楽しみにしていますね♪(*^^)o∀*∀o(^^*)♪ (2015年4月27日 0時) (レス) id: 11f7b338a9 (このIDを非表示/違反報告)
ホコ(プロフ) - マムさん» ありがとうございます。カッコいいだなんて!私の書く業君は変態になりがちなので、そう言って貰えてうれしいです。恋愛パート頑張りますね(笑) (2015年4月25日 22時) (レス) id: 28a3503210 (このIDを非表示/違反報告)
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