13話 ページ13
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ーAside
あれから、君に話し掛けられる事が多くなったのは、皐月も半ばに入った頃だった。
こんな私をまだ好きでいてくれている、
なんて自分でも分からない少しの安堵。
相変わらず、単純過ぎる馬鹿っぷりが出てしまっているが。
ただ、少し。
引っかかる点と言えば、周りからの視線と言い質問等。
”二口君とどういう関係なの？”
なんて質問攻めにされる度、誤解を解こうと脳を働かせるが弁解出来ず。
なんせ、”あれだけ” モテている彼に告白された等言えるわけがないのだから。
いっその事距離を置いた方が楽だ、と思った迄だ。
─────･･････
「この間の、返事。」
人目が気にならない所─────中庭。
君と二人きり。
あの時は、卯月。
桜が散ったばかりの頃だったっけ。
いや。そんな事、今はどうでもいい。
「どうして、私の事好きになってくれたの。」
･･････嗚呼。馬鹿だ、私。
さっさと、”御免なさい” と言ってしまえば楽なのに。
まだ、君との時間を堪能していたいと思ってしまっている。
目線を逸らす背高い君を見つめれば、赤くなる耳はやはり見間違いではない。
それは暫くの沈黙の後だった。
「･･････それだよ。」
「え？」
漸くこちらを向いた君は私の目は見ていない。
「その、アンタの頬が好きだ。」
─────驚いた。
褒められた、のかは危ういが此方まで火照るじゃあないか。
数秒の沈黙、君は我に返ったのか
”気持ち悪いな、俺”
なんて零して笑った。
─────私は、そんな君の無邪気な笑顔が好きかもしれない。
「そんなことない、ありがと。」
なんだ。ダメダメじゃん、私。
何故か気になる人、なんて都合の良い言葉で受け流していたが今は違う。
好きだ、と自覚してしまっている。
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作者名：充電アダプタ | 作成日時：2021年5月9日 12時
