12話 ページ12
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ー二口side
「くそ、暑ぃ。」
果たして、これは春なのか。
いいや。もう初夏だろう。
ブレザーの上から容赦無く照らす太陽は俺を苛立たされるのがお得意なようで。
”早く制服移行されねぇかな”
なんて汗を垂らしながら仰ぐ空。
白く光る太陽なんか無視。
只管に青く広い空の下、今日も君を想う。
─────･･････
なんて呑気で居れたのは午前までだった。
目が合えば一瞬で逸らされてしまうし、すれ違ったって気まずそうに避ける君。
君に振り回されて、調子が狂う。
それでも、諦め切れないくらいのこの恋はきっと生まれて初めてだ。
振り向かせたい、と思う度に気合いが入るのはきっと君だから。
─────前までの俺とは違う。
「な、あのさ。昼、一緒に食わねぇ？」
君に一歩、二歩近付いて声を掛ける。
ふわりと香るこの匂いは、桜の匂い
─────及び君の匂い。
俺の視界には君しか映らず、周りなんて見えていない。
だがそれでも、俺と君との気持ちは交わらず。
「え、と･･････今日は友達と食べる。」
申し訳なさそうに顔を上げた君と目線が絡むが逸らされてしまった。
「わかった。じゃあ、また今度誘うわ。」
正直、想定内の結果だ。
脈ナシでも諦めない、と決めたから。
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作者名：充電アダプタ | 作成日時：2021年5月9日 12時
