2話 ページ2
・
ー二口side
灰色に霞んだつまらない世界が、一瞬にして桜色の淡い色へと彩られた。
それは、一週間経った今も変わらずだ。
そして俺の目線は片時も君から離れない。
こんなの、俺らしくない。
けれど、”伊達の鉄壁” という肩書きはなんだか調子が良い。
いつもより飛べる。
ネットから先の景色が良く見える。
”これも恋の力ってやつなのか”
なんて、擽ったい台詞につい口角が上がった。
─────・・・・・・
徐々に始まりだした部活動。
早速、朝練と活動が豊富な我がバレー部員は今日も眠たい目を擦っていた。
そして完全に疲れ果てた俺は、頬杖を付きながらまた今日も君を見つめる、
煩い休み時間。
そんな俺の気なんて知らず、机へ押し掛けてきた友人らは何かの話で盛り上がっている。
どうせ、女子の噂話だろう。
なんて考える事くらいは出来るが、聞く気力なんて無ぇ。
だが、只管に君を見つめる俺の目は気持ちの悪い程に敏感だ。
事ある毎に笑みを浮かべる君を見る度、か、と身体が熱くなる。
果たして照れ隠しなのかは分からないが、自然と俯せになっていた重い頭。
漸く頭が動いたのは、僅か数分後。
自然と探していた君の姿を目に捕らえた時。
間違いない。
君との視線が一瞬にして絡まった。
あの時と同じ。
微かに目を揺らがせながら俺と目線を交わす君の頬は桜色だ。
見つめ過ぎていた俺も悪いだろうが、君が俺を見ていた事は確かだ。
・・・・・・やっと、見てくれた。
表に出していないだけであって、胸の奥は馬鹿みたいに舞い上がっている。
照れ混じりの小さな舌打ちをひとつ。
「・・・・・・ち、」
・
80人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:充電アダプタ | 作成日時:2021年5月9日 12時