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「……」


「黙っていたら分からないよー」



ほらほら〜、と促してくる太宰。

こんな後生ネタにしてきそうな輩に教える程、
私は阿呆ではない。


冷静に考えてみたら家族と離れるのが寂しいって、子供かよ。新手の構ってちゃんかよ。←


………でも、寂しいのは本当だもん。




「……私には云えない事かい?」


「い、云えなくはないけど……嗤わない?」


「勿論。嗤わないさ」



真剣な表情で見つめられた。

正直云いたくはないが、責め立てるように握った手をクイッと引かれる。


これ以上太宰との距離が縮まるのも心臓に悪いので、私は諦めて口を開いた。



「………しいの」


「ん?」


「だから、また独りだと思うと寂しいの!!」



羞恥に耐えながら、ヤケクソに叫ぶ。

全てを見透かすような鷲色の瞳を睨みつけてやれば、ぽかんとした顔から一転、太宰が吹き出した。


「ちょっ!嗤わないって!」


「っふ、御免。そんな深刻そうな顔して何を云うかと思ったら…ッ!」



再びクツクツと喉を鳴らして嗤い出す。

居ても立っても居られなくなった私は、嗤いを噛み殺している太宰を置いて歩く。



もう知らない、あんなクソ太宰とかいう奴のことなんて。

過去の女性たちに呪い殺されてしまえ←



「Aちゃん、待ってくれ給え」


「誰が待つかこの包帯無駄遣い装置」


「うッ…!国木ぃ田君に云われるより刺さるッ」



ゴロゴロとスーツケースを引く音と共に、グッと後ろから腕を引かれる。

存外力が強くて、体勢を整えられずに正面から太宰の懐に飛び込んだ。



「ッ!?離せこの女の敵がッ!!」


「うーん否定できないのが痛いねぇ。ほら、お口はチャック」


「はぁ?!」



突っぱねていた腕を掴まれて、さらに抱き寄せられる。

太宰の胸板に強打した顔を上げると、割と至近距離にその端正な顔があった。



「寂しいのだろう?そういう時は人肌恋しくなるものさ」


「……分かるの、太宰にも」


「分かるさ。私も寂しいからね」



そう云った時の太宰の瞳は、何処か遠くを見つめていた。

優しく、哀しい目だった。



私は見てはいけないような気がして、そっと目を逸らし、彼の胸に顔を押し付けた。

離したら、何処か遠くへ行ってしまいそうで。

太宰の背に腕を回して、軽く力を入れる。



「……身近な人程、別れるときは寂しい」


「……そうだね。無意識の内に、近くにいることを当たり前に思ってしまっているのかもね」


「……難しいね」


「あぁ。感情は単純なようで複雑だよ」



*→←寂しさに寄り添う【太宰治】



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雪見だいふく - このシリーズ大好きなので、続編書いて欲しいです!リクもさせていただきたいので、よろしくお願いします! (2021年10月22日 18時) (レス) id: 0b9e52d702 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - 続編をお願いします! (2021年10月21日 22時) (レス) @page49 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - すみませんゴーゴリのヤンデレは…… (2021年10月5日 1時) (レス) @page45 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - 上手だと思いますよ、棒人間しか書けない私にとっては羨ましいです。 (2021年8月26日 1時) (レス) id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - フョードルの制裁論お願いします (2021年8月22日 7時) (レス) id: 68ec6172c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハル | 作成日時:2021年2月22日 21時

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