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思わぬ形で向き合うことになり、少し戸惑う。
どう反応していいか分からない。彼が何を思っているのか、上手く読み取れない。
彼はそんな硬直状態の私を気にも留めなかった。
私の頬から首にかけてをするりと撫で、目元を人差し指でなぞられる。
それから少し背を丸めて鎖骨辺りに顔を埋め、ギュッと抱きしめられた。
「……いつもより早めですね。発汗音も少々、冷や汗でしょうか」
だから毛布を被っていたのですね、と彼は苦笑した。
＿＿＿＿＿＿本当、彼には敵わない。
だから迂闊に嘘も吐けないし、隠し事も至難の業。
ここまで云われてしまったら彼にとってはもう、答えは分かったも同然じゃあないか。
「夢見が悪かったのですね」
「……昔の事が夢に出ただけです。平気ですから」
「起こしてくれれば良かったものを…。Aさんの"平気"程、あてにならないものはないですよ」
クスリと嗤った条野さんに顎を掬われ、唇に柔らかいものが触れた。
それは一回だけでは飽き足らず。何度も、角度を変えて落とされる。
宛も、私の意識が悪夢から逸れるように。
「ん……、寝ましょうか」
照れる素振りも見せず、満足そうに微笑んだ彼はいとも簡単に私を包む毛布を引っぺがす。
そして腕の中にいる私ごと、身体を反転させながらベッドに転がった。
「毛布……」
モフモフが取られちゃった。癒しが…。
「代わりにタオルケットをしっかり被ってください」
謎の喪失感を埋める様に、彼が手繰り寄せたタオルケットに身を包む。
もう一枚は彼の腰回りと私のお腹回りで横向きに。彼の身体が冷えないか心配だ。
「条野さんも。しっかり掛けないと風邪を引いてしまいますよ」
「Aさんの温もりを頂いているので大丈夫です」
そう云って私の足に自身のそれを絡ませ、宛も抱き枕のように抱きしめる彼。
彼の程よい体温が心地良くて、目の前にある胸板に頬を寄せればトクトク、一定のリズムをゆっくりと刻む彼の心音が微かに聞こえた。
私の身体全体を包み込む彼が、守ってくれているような感じがして。
毛布とはまた別の安心感があった。
「おやすみなさい、A。＿＿＿＿愛しています」
微睡む意識の中で、そんな甘い言葉と共に額へキスが贈られた。
返事代わりに懐へぴとりとくっついて、愛しい彼の腕の中で穏やかな拍動に合わせて眠りに落ちた。
＿＿＿＿＿もう、悪夢を見ることは無かった。
Fin.
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雪見だいふく - このシリーズ大好きなので、続編書いて欲しいです！リクもさせていただきたいので、よろしくお願いします！ (2021年10月22日 18時) (
レス) id: 0b9e52d702 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - 続編をお願いします！ (2021年10月21日 22時) (レス) @page49 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - すみませんゴーゴリのヤンデレは…… (2021年10月5日 1時) (レス) @page45 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - 上手だと思いますよ、棒人間しか書けない私にとっては羨ましいです。 (2021年8月26日 1時) (レス) id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - フョードルの制裁論お願いします (2021年8月22日 7時) (レス) id: 68ec6172c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハル | 作成日時：2021年2月22日 21時
