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*Extra* ページ33




「太宰さんッッ!!」

「え、Aちゃんッ!?」



少しよろけながらも受け止めてくれる太宰さん。
彼の懐から顔を上げると、先程まで言い合いをしていた眼鏡の男性と目が合った。

理想主義者は呆けたまま、驚いたように私たちを凝視していた。



「久しぶりだね。何か用?」

「今度お兄ちゃんの車を爆破させる予定なので、お誘いに来ました!←」

「おぉ!いいね、やろう←」



協力者、またの名を共犯者を確保。
いっそ梶井さんの檸檬爆弾を頂戴しようか、と早速考え始める。


「でも、急に爆破だなんて。何かあったのかい?」


何もかも見透かしてしまうような太宰さんの瞳に覗き込まれ、私はすぅーッと視線をそらした。
目線は明後日の方向だが説明くらいはしないと。彼も一応協力(共犯)者だし…。


「、ッあ…、う、、」


でも、言葉が出てこなかった。
自分の胸の内にくすぶる気持ちを声に出せなくて。
唯一発することが出来たのは「あ」とか「う」とか、赤ちゃんでさえ話せる拙い言葉。
必死に頭を回転させ言葉を探しても、今の私には何も思い浮かばせることが出来なかった。


「…そうだね、腰を据えて落ち着いてから聞くよ。さぁ、中へ入り給え」


彼はプチパニックを起こしている私の背を押し室内へと促す。

されるがままに中へ足を踏み入れると、何人かの視線が私を突き刺した。
ちらり、と目だけを向けてみる。
私を見て少し震える姐さんお気に入りの子に、彼女を庇うように前に立つ人虎くん。
鳥打帽(ハンチング)を被った名探偵、垂れ目がちな妹想いの青年。
そして後ろにいる理想主義の権化たる男性。
隣から物音がするので、蝶の髪飾りが似合う女医(せんせい)もいるのだろう。


「…貴方が何故ここに」

まるで虎がうなるように。警戒した人虎くんの低い声が私の耳に届く。
それもそうだ。
太宰さん以外で私の正体を少しだけ知っている唯一の人物だからね

…私は、あえて黙っていた。
此処でヘタに臨戦態勢にでも入られたら、マフィアの首領に怒(殺)られてしまう。


「落ち着き給え、敦君」

「でもッ」

「平気さ。一人で来たみたいだし、仮に何かあったとしても私が捕らえられる」



……まぁ物騒な話だ。
本人の前でなんて話をするんだとも思ったが、ちゃっかり聞こえるように言って釘を刺しているおつもりだろう。
決して何もするな、と。
私だって探偵社を敵に回すようなことは誰かに頼まれても御免こうむりたい。



「はい、此処だよ」


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紅月ミレー - リクありがとうございました(*^□^*) さっそく、読みました羅生門可愛いですよね(〃ω〃) モフモフしていそうですもんね、芥川様がちょっぴり可哀想でした(´;ω;`) (2020年12月15日 18時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - ハルさん» はい、分かりました(*^□^*) 楽しみに待ってます(v^ー°) (2020年12月13日 9時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ハル - コメントありがとうございます!無理矢理終わらせた感が否めないですが…。僕くんはあと少しで書き終わりますので、もうしばらくお待ちくださいm(__)m (2020年12月13日 0時) (レス) id: dca913437b (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - リクの続きありがとうございました(*^□^*) 中也様と仲直りして良かったですね(o^−^o) そして、やっぱり最後は爆破イタズラで大成功でしたね(^皿^) (2020年12月9日 18時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - 太宰治様と一緒に仕返し作戦、一体どうなるか楽しみです(v^ー°) もし、中也様にバレたら…見られたら((((;゜Д゜))) 物凄くお仕置きが待ってますね(o^−^o) (2020年12月7日 17時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハル | 作成日時:2020年10月26日 23時

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