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No.1 ページ22





「悪いのだけど、Aくんの様子を見て来てくれないかい?」


「はい……?」



執務室で書類に目を通していると、いきなり首領からの呼び出しが入った。

何事だろうと急いで首領室へ向かったが頼まれたのは予想外の内容。
思わず呆けた声が出てしまった。


「彼女はおそらく自宅にいるだろう。…早めに向かってほしいんだ」

嫌な予感がする、と首領は神妙な面持ちで彼に告げる。



「ッ!彼奴に何かッ!?」

「……アノ子が太宰くんの妹なのは知っているね?」

その問いかけに中也は勿論といった様子で頷く。


ポートマフィア五大幹部の一人、太宰A。
元マフィア最年少幹部である太宰治の妹。

普段はのんびりマイペースだが、時折見せる冷酷な瞳は兄そっくりだ。

「彼女は表立ってやらないが、Aくんもまた"ジサツ願望者"なのだよ。……兄、太宰くんと同じようにね」

「…オレも以前見たことがあります」


___敵の銃口に自ら近づいていく彼奴を。


オレはその時の状況を簡単に説明する。

中也の話を聞いた首領は組んでいた手に額を預け、深々とため息をついた。


「__昔の太宰くんを見ているかのようだ。……とりあえず、彼女を頼んだよ。中原くん」

「御意」

_______________________________________


これで此処にいなかッたら潰す←


そう思いながら、首領からもらった地図通りに車を走らせること十数分。

目的地として示された場所は、閑静な住宅街から離れた高層ビルだった。
駐車場に車を停め運転席から降りる。

マフィア拠点程ではないものの中々の高さがあるビルを何となく見上げてみた。
青々とした快晴の空にフェンスで囲まれた屋上、そこに……何故か一つの影。

フェンスの上で器用に立っている人物は逆光により、誰なのかは区別できない。
しかし、俺には分かった。
あんな危ないことを平気でやるのはアイツ(・・・)しかいない。


次の瞬間___ 影が動いた。

黒い塊はためらいもなく地を蹴り、雲一つない青空を舞う。
太陽の光を受けて輝く黒髪を靡かせながら___そのまま真っ逆さまに落ちてきた。



「ッッ!?あのバカッ!」


自ら身を投げ出す奴があるかッて―のッッ!!

直ぐに地面を蹴って異能で浮かび上がる。
そのままどんどん高度を上げ、転落死を目論んだアイツを重力操作を駆使して受け止めた。

華奢な身体に、青鯖と同じ黒茶色の髪。


「……おいA。手前、自分が何したか分かッてンのか」



No.2→←生きるとは。【中原中也】



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紅月ミレー - リクありがとうございました(*^□^*) さっそく、読みました羅生門可愛いですよね(〃ω〃) モフモフしていそうですもんね、芥川様がちょっぴり可哀想でした(´;ω;`) (2020年12月15日 18時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - ハルさん» はい、分かりました(*^□^*) 楽しみに待ってます(v^ー°) (2020年12月13日 9時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ハル - コメントありがとうございます!無理矢理終わらせた感が否めないですが…。僕くんはあと少しで書き終わりますので、もうしばらくお待ちくださいm(__)m (2020年12月13日 0時) (レス) id: dca913437b (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - リクの続きありがとうございました(*^□^*) 中也様と仲直りして良かったですね(o^−^o) そして、やっぱり最後は爆破イタズラで大成功でしたね(^皿^) (2020年12月9日 18時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - 太宰治様と一緒に仕返し作戦、一体どうなるか楽しみです(v^ー°) もし、中也様にバレたら…見られたら((((;゜Д゜))) 物凄くお仕置きが待ってますね(o^−^o) (2020年12月7日 17時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハル | 作成日時:2020年10月26日 23時

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