三十路の恋はうまくいかない

違和感 ページ42

泊まりの研修から戻ってきて一週間



毎日のようにLINEはしているものの
ここのところ頻繁にバーに顔を出していた
彼が突然ぱったり来なくなった



きっと仕事忙しいんだろう
そう自分に言い聞かせて納得させていた





「顔くらっ」



『えっ、ごめん！
　研修の疲れが顔に出ちゃってるのかな…』



「Aさんの元気ないと
　こっちも調子狂っちゃうんで勘弁して」




相変わらず軽口をたたきながらも
優しい菅田くんに救われる






そんなことを考えてたら
一人の女性客がカウンターに案内された



その顔を見た瞬間、
菅田くんの表情が少しピリッとした気がした



けど、いつもの涼やかな顔だ




「いらっしゃいませ。」




「こんばんわ。

　…ねぇ、店員さん、
　今日は井口さん来ていないんですか？」





その名前に一瞬ドキっとして
おしぼりとお通しを用意する手が止まる





「最近いらしてませんね」




改めて女性に視線を向けると
同性から見てもとても可愛らしく色気のある
魅力的な若い女の子だった




「え〜そうなんだ…残念。

　今度来たら、あたしが会いたがってたって
　伝えてくれません？」




「ええ、忘れなければ伝えときます。」





珍しくお客様に塩対応をしている菅田くんに
中での仕事を頼まれ、



彼の名前を口にしたその女性のことが
なんだか少し気になりつつも
その場を離れた







これがいわゆる女の勘だということに
後で気付くなんて

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