三十路の恋はうまくいかない

不穏 ページ40

今日は久々のオフなのに
メンバーも大学の友達も予定が合わない



「…井口さんって暇なんすか」



「暇じゃねーよ。
　今日はオフだからたまにはゆっくり一人で飲もうかな〜と思ったの！つか、俺客だよ！？」



「ふはは、
　今日はAさんも研修で神戸ですしね」



「そうなのよ！
　俺も一緒に神戸行けば良かった…」






「神戸いいところですよね」






突然後ろから女性の声がしたので
びっくりして振り返った





「こんばんわ。
　あの…King Gnuの井口さんですよね？
　ごめんなさい、あたし井口さんのファンで、
　つい話しかけちゃいました…」





申し訳なさそうに話す女性に
返す言葉も一瞬忘れるくらい釘付けになった



芸能人ばりにすげー可愛くて
顔もスタイルも俺の好みにドストライク



そんな女性にファンだなんて言われた日にゃ
ゆるむ顔を抑えきれない…





「あ、ありがとう！」





緊張のあまり、キョドってしまった…
そんな俺を見てふふっと笑う姿がまた可愛い




「ご迷惑じゃなければ…
　お隣いいですか？」




「どうぞどうぞ！」




いやいやこんな可愛い子に声かけられて
嬉しくない男なんていないでしょ





女性との会話に盛り上がっていると
カウンター越しに冷ややかな視線を感じる






「とても楽しい夜になりそうですね」

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