GameArea【オリジナル小説】 (ページ45)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:13,171 hit

氷の道⇔漂流の港1 ページ45

「いらっしゃい！いらっしゃい！
お、そこのお姉さん。ちょっと、見てよ！」

「あら、何かしら？」

暖かい日差しで眠くなる昼下がり、
俺達は氷の道を抜けた坂を登る村の付近の大きな木の下で休憩をとっている。

村が近いだけあって、人も少しは通る。
それを狙ってなのか、シラギはカバンからレジャーシートを取り出し、その上に化粧品やら綺麗な髪留めやらを並べた。
そして、今に至る。

「綺麗な、ブレスレットね…」

「今なら、安くするよ？」

接客をするシラギをチラリと見て、
ユウは言った。
「シラギって、バウンティーハンターじゃなかったけ。」

それに近くに水汲みに行っていたルシアが答えた。
「お金が稼ぐためには、賞金首探しだけじゃダメなんだって。」

「ふーん。」

「シラギさんって、優しいですよね。
自分からお金の管理や、稼ぐのを申し出てくれたんです。」

「本当、本当！しかも、優しいしさあ！どっかの赤髪のトゲトゲ野郎とは大違い！」

メリーとミニットが楽しげに話し出す。
待ってください。その、どっかの赤髪のトゲトゲ野郎って俺ですよね？ミニットさん。

「そういえば、クロウどこ行った？」

いない存在に俺はユウに聞く。

ユウは目線をチラリとこちらに向けると指をさした。

そこには、地面を見ているクロウの後ろ姿。
俺は、立ち上がりクロウを驚かせようと後ろから近づく。

一歩

一歩

一歩と。

「クロ…うをぉ！？」

俺は尻餅をついた。
クロウはそれでも、俺に気がついていない。

瞳を輝かせて地面から出ているものを見ている。

「ブルルッ」

馬。

地面から馬の頭が出ている。
そして、クロウを見つめている。

確かこいつ、最近いないと思ったら。

そう、メリーさんの馬です。

「馬型の土暮らし妖精。
見た目も食べ物も馬だけど、身体能力の高さと眠る場所は違う。
珍しい種類なんだけど、どうして、早く気がつかなかったんだろ。
ということは、馬型の土暮らし妖精は精霊力が小さいのか…。
本でしか見たことなかったけど…、本当なんで気がつかなかったんだろうか。」

うっとりしながら早口気味に言う。
俺は馬の顔が土から出ていることがシュールすぎて、笑いを通り越したのだが。