何も出来なくて。side秋 ページ40
響木監督からのメールで、遠い愛媛へ影山を追いかける。
道中も、木暮くんのイタズラっこな性格は皆のムードメーカーみたいで笑いが絶えなくて。
コンビニにキャラバンが止まれば、円堂くんが駆け寄って。いつものように携帯を手渡せばお家へ電話しに行く。
そういえば、Aちゃんは目を覚ましたのかな。メールしたら…返してくれるかな。
真・帝国学園の不動くんが挨拶代わりに皆の不安を煽っていけば、どうしようか悩んでいたAちゃんを呼び出した。
「Aちゃん…！」
ひとまず無事に目が覚めてよかった、声をかけようとすると監督が「どうしてここに」と冷たくAちゃんへ。その声を聞いたAちゃんは、一瞬とても…寂しそうに顔をしかめて。
キャラバンへの乗り込めば、いつも通りに座る。座ってから、Aちゃんの場所は、とはっとした。
ただ1点、Aちゃんは染岡くんと吹雪くんの姿を見て…。
瞳が、揺れてた…。
ほんの一瞬だったけど、確かに立ち尽くしたAちゃんに、不動くんが鬼道くんとの間に座るように促せばちらりとだけ不動くんを見て、返事もせずに1番後ろ、壁山くんの隣へ座った。
どうして、この時に気付けなかったんだろう。
何も、言わなかったんだろう。
海岸沿いで、不動くんに手を引かれて円堂くん達の元へ連れていかれたAちゃんは、振り向いて確かに助けを求めたのに。
誰も、その手を引き止めることは出来なかった。
しばらくしてから、皆で船へ乗り込めばAちゃんの悲鳴が聞こえて。
慌てて駆け出せば、円堂くんの手を振り払って何かを必死に叫ぶ。
その姿にびっくりして、怖くなって、近付けなくて。
見るに見兼ねた監督が、優しく抱きしめて背中を叩いて落ち着かせて…。
ただ、呆然とその姿を見つめて…。
ここに、豪炎寺くんがいたら。
なんの躊躇いもなく、Aちゃんの腕を引いてその背中で守ってあげたのかな。
今みたいに、なっても…。
監督みたいに優しく抱きしめていたのかな。
学校という世界を飛び出してみれば、私はAちゃんの事を何も知らなくて。
クラスの中じゃ、サッカー部の中じゃ…円堂くんと私はそれなりに仲良くできてたはずなのに。
何も、出来なくて。
試合が終わってキャラバンへ戻ったら
その時は、Aちゃんの隣に座って、手を取って。
話をしよう、そう思ったのに。
「帰った…？」
染岡くんの足の怪我の事もあり、一旦稲妻町へ帰ったけど何処にも居なかった…。
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守羽(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます。すみません…手違いで先に続編を立ててしまった次第です。本日続編分まで合わせて更新するのでお待ち頂けたら幸いです。 (2022年8月19日 16時) (
レス) id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - この話の続きが気になってますが、パスワードがかかっており話が読めないのですが…… (2022年8月19日 9時) (レス) id: dac527e381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時：2022年8月14日 14時
