自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ10)

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ポテンシャル。ページ10

何となく修也くんと気まづいままで早数日。
イナビナリ修練所に篭もり、特訓に励む皆。水道で皆の水筒を洗い、ついでに氷水で冷やしておけば皆が飲む頃には冷たく喉を潤わせてくれるだろう。

「Aさん！今春奈ちゃんが…！」

慌てて走ってきた木野さんが教えてくれたのは、帝国学園の初戦敗退の知らせだった。音無さんが修練所へ全速力で伝えに行ったらしい。

「…40年無敗だった帝国が10対０で敗北…？」

こくりと頷く木野さんに、真剣に聞いてみた。それは、帝国学園の実力として有り得ることなのか。雷門イレブンは決して弱くはない、帝国学園だって40年無敗は伊達じゃないはず。むしろ、あの日の…あの時の帝国のプレーそのものだけなら欲目を引いても全国レベルは容易いはず。

考え込めば、部室から飛び出していく円堂くんが見えた。少しづつだけど彼のことは理解してきた。

「ゴーグルさんの所に行ったのかな」
「ゴーグル…？鬼道くんの事？」

はて？そんな名前でしたか？とでも言うように木野さんと見つめ会った。

翌日。

次の対戦相手が千羽山中に決まったこともありミーティング。ホワイトボードを叩いて意気揚々な円堂くん。千羽山中は鉄壁の守りがあり1度もゴールを許していない、との事で。

「あの、先輩。なんかくっつく相手間違えてませんか」
「間違えてないよ？」

真剣に円堂くんの話を聞いている中、少林寺くんが突然恥ずかしそうに振り向いては見上げてきたのだ。修也くんの咳払いが聞こえた。
話を戻して、ダイヤモンドの攻めをすることになった雷門。
円堂くんの奇天烈な考え結構好きになってきたのは私も少しづつ雷門の皆のことを好きになれてる証拠かな。

「ふっ！はっ！やっ！」

まるでカンフーみたいな動きをして周りとの距離を十分に取る少林寺くん。何か違うんだよな〜と屈伸をして見たりボールを見つめる少林寺くんに、ねえねえ、と腰をつついてみれば可愛らしい悲鳴が聞こえた。

「先輩！！何するんですか！！」
「少林寺くんさ、ちっちゃいのに皆のペースによく着いてくるじゃない」
「悪口ですか！」

違う違う！とちゃんと否定をして、立ち上がっては、自分の体で説明する。まずね、少林寺くんのポテンシャルとして足腰が強いと思うんだ。

と、どんっと足を踏み鳴らせば少林寺くんよりも遥かに小さな砂埃が舞った程度。皆のスピードや歩幅に着いたこれるその足腰の強さと見掛け倒しのパワー力は絶対武器になると思うのと笑えば何かを閃いたよう。