自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ45)

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サッカー。ページ45

修也くんに背中を押され、はっとすれば、響木さんがじっと円堂くんを見ていた。

「大介さん。……お前のおじいさんの死には影山が関わっている可能性がある」
「じいゃんが……影山に……？」

円堂くんの体が強ばって、震えだすのがわかった。
雷門さんが響木さんになぜこんな時に、と。でも響木さんは答えてくれなくて。

円堂くんは、唇を噛み締めて、肩を震わせて……。
皆もそんな円堂くんをみて表情が曇っていく。呼吸が、変わった。肩で息をし始めた瞬間だった。

修也くんが円堂くんの肩を叩いた。反対側で私も背中をさすって……。

円堂くんと目が合った。すぐに、円堂くんは修也くんをみて、何かを考えて。修也くんが肩から手を離せば、円堂くんは大きく深呼吸をした。その様子を見て、修也くんも安心したように頷いて笑う。

「円堂くん……」
「円堂くん、」

雷門さんと木野さん。2人に続いて、皆が円堂くんの名前を呼んでいく。

「……円堂くん」

1番最後になっちゃったけど、私も名前を呼べばびっくりしたような円堂くん。そっとさすっていた手を離せば、握りしめていた手を緩めてもう一度呼吸を整える。

「……監督……皆。こんなに俺の事を思ってくれる皆に会えたのはサッカーのおかげなんだ。影山は憎い。けどその気持ちでプレーしたくない。サッカーは楽しくて、面白くて、わくわくする。1つのボールに皆が熱い気持ちをぶつける最高のスポーツなんだ。だから、この試合も俺は、いつもの、俺たちのサッカーをする。皆と優勝を目指す。サッカーが好きだから！」

顔を上げた円堂くんはいつものキャプテンでサッカー馬鹿な笑顔。
修也くんもいつもの笑顔。みんな、笑顔が広がっていく。

「さあ！試合の準備だ」
「はい！」

控え室へ向かってみんなで走っていく。

不意に、足を止めて影山さんを見れば後ろにいた響木さんと睨み合ってた。やっぱり、さっきの視線は気のせいで修也くんと円堂くんに向けられたものだろう。

皆がユニフォームへ着替えて戻ってくる間に、私たちはベンチで準備を始める。

「あ……ちょっとボトルが足りないから控え室から持ってくるね」
「ありがとう、お願い！」

木野さんへ声掛けて控え室へ走れば皆とすれ違った。うん、いい顔。
修也くんと頷きあえば、控え室へ急いで向かう。

「え、と。確かこの辺に……」

予備のバックから空のボトルを見付けて急いで控え室を出れば、赤い髪の男の子がそこに居た。

「やあ」
「今、貴方と話す暇無い」