自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ32)

今日:6 hit、昨日:3 hit、合計:14,331 hit

ゴットハンド。ページ32

「おはよー」
「やっぱり2人は付き合ってるんだな」

んえ？修也くんと並んで校舎への道を歩いていると後ろから声をかけられる。振り向けば一之瀬さんと木野さんがいた。
ちらり、と修也くんを見れば否定も肯定もしない。

「おはよ」
「おはよう皆」

木野さんの後ろから鬼道さんと風丸くん。
少し話をして歩き出そうとすれば、何だかどんよりした空気を纏った円堂くんが歩いてくるのが見えた。

「どうしたのその顔？」

木野さんが聞けば、だめなんだ、だめなんだよおとまるで怨みみたいな声が出てくる円堂くん。修也くんと顔を見合わせて、円堂くんをもう一度見た。

「だめって何が？」

木野さんの言葉に円堂くんは、ゴットハンドで世宇子のシュート止められるのかな…と不安を零した。

「らしくないぞ。いつものお前なら、やってみなくちゃわからないって真正面からぶつかっていくじゃないか」

鬼道さんの言葉にうんうん、と頷けば、円堂くんは頭をわしゃわしゃとしてから顔を上げて。

「この決勝絶対に負けられないんだ！やってみなくちゃわからないじゃダメなんだ！わかるだろ！」

いつもの円堂くんじゃない。
呆気に取られた鬼道さんが言葉を失って頷いてた。

「もしかして、昨日の木戸川戦で自信をなくしたのか？」
「無くしたって言うか……不安なんだよ」

どうしたらいいかわかんなくなって、眠れなくて……頭の中ぐちゃぐちゃで……と、円堂くんはそう言いながら校舎へ向かって歩き出した。
円堂くんの項垂れた後ろ姿を皆で見ていると、一之瀬さんが

「彼今までにあんなことあったの？」
「ううん、あんな円堂くん見たことない」

木野さんが見た事ない、なら他の誰も見たことないんだと思う。
静かに見守りながら私達も校舎へ向かった。

授業中も上の空な円堂くん。
先生に何回も名前を呼ばれて、回答を書きに黒板へ向かった。

大丈夫かな……円堂くん……。

.

いつも通り、練習が終わり修也くんと帰ろうとすると鬼道さんが話しかけてきた。
修也くんも頷いてから申し訳なさそうに教えてくれた。

「円堂のところへ行く。帰りも遅くなるし今日は別で帰ろう」

鬼道さんを見れば、鉄塔広場へ様子を見に行ってくると。
どうして。ふう、と息を吐けば顔色を伺うような修也くん。

「嫌だ、なんて言う訳ないよ。私も一緒に円堂くんのところへ行きたい」

何も出来ないけど、そう言えば安心したような修也くん。
3人で鉄塔広場へ向かって歩き出す。