自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ31)

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不死鳥。ページ31

「ファイアトルネード！」

押し込んだ1点。同点へ足並みを揃える。
修也くんは円堂くんの方を見て、2人は笑いあっていた。

ほっ、と安堵してから気持ちを切り替える。

一進一退の攻防戦。

「時間は？」
「わああ？！もう残ってないです！」

音無さんと雷門さんが焦りを表情に。もうロスタイムしかない。

「あ！」

三兄弟にボールが回った。今決められたら、逆転のチャンスは来ない。どうしよう、そう思ってしまった。

「トライアングルZ！！」
「ゴットハンド！！」

お願い、円堂くん……！
ぎゅっと、手に力が籠っていく。信じるように祈るように。
両手で抑え込む円堂くんに、栗松くんと壁山くんが背中を支えた。

「3人で…ゴットハンド」
「やったー！！」

トライアングルZを見事留め切り、喜ぶみんな。

「円堂！こっちだ！」
「おう！」

完全フリーだった修也くんが駆け上がっていく。大急ぎで戻ってきた三兄弟が修也くんの前に立ちふさがれば、バックパスで一之瀬さんへ。
よくあの位置から一之瀬さんに綺麗に回せたね修也くん…びっくり。

「いけ！トライペガサス！」
「っ？！」
「いけ！決めるんだ！」
「……おう！」

ここで、トライペガサス？
困惑の色が見えた一之瀬さん達も直ぐに納得して円堂くんも上がってくる。

「トライペガサスは決めさせない！」

青いバンダナさんがスピニングカットを放てば青い炎で道を妨げられる。でも、その炎を推し進んで3人の線が交わった。

空へ上がったボールは青い炎から赤い炎へ変わって

「不死鳥……」

逆転の一点を決めた。
しばらくして試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

みんながフィールドに戻ってくる中、修也くんは三兄弟のところへ。
心配でじっと見つめていると、木野さんに行ってきてあげて、と言われた…。

「いいのかな…」
「んなの気にすんなって！迎えにいってやれよ」
「わ！…うん！」

円堂くんに背中を押されて修也くんの元へと走っていく。
木戸川清修の監督さんも修也くんたちの所へ向かっていくのがわかった、これ…先に迎えに行ったら絶対邪魔じゃない？
そう思って早歩きに変えて急ぐ。

監督さんが修也くんの肩に手を置いて何かを言ってる…。
いや、急げばよかった。
修也くんと三兄弟が握手しているのが見えた。

和解…できたのかな。

話の邪魔になってしまうと思って必要以上近付けなくて踏みとどまってしまえば、話が終わったらしく振り向いた修也くん。

優しく、吹っ切れた微笑みだった。