自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ14)

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ゴーグルさん。ページ14

「円堂くん、キャプテンでしょう。監督に何か言ってよ」

木野さんが円堂くんへそう詰めよれば、その横では凛として動かない雷門さんがいた。これは、雷門さんも1枚噛んでますね。
修也くんの前へしゃがみこんで、ちょいちょいと手招きをすれば修也くんも耳を傾けてくれる。

「響木さんは誰を待ってるの？」
「……お前、名前を言われてわかる自信があるのか」

真剣な目で修也くんを見れば、来ればわかる。と呆れられたように頭を撫でられた。

「よくわかんないけど、監督がまだっていうんじゃ、まだなんじゃないか？」
「も〜！」

流石の木野さんも我慢の限界が近い。というか、円堂くんのよくわかんないけどって面白いね。キャプテンなのに。くすくす笑っていればあと1分という声と、悲鳴にも聞こえる1年生たちの声。

あと、30秒。

皆が監督！と仕切りに声をかけ続ける中、響木さんが白い髭を上げて笑った。

「来たな」

その言葉と共に皆でその人の元へ身を取り出せば、全員揃って大きな声で嘘〜〜〜！！！と合唱した。

円堂くんが、ゴーグルのその人を鬼道と呼ぶ。はて。柱によりかかって満足そうに笑う修也くんに耳打ちを。あれって昨日の人？それとも帝国の人？ゴーグルが流行りなの？と。ちょっと呆れたようにどちらも同一人物だ、と。なんでその人が雷門のユニフォームを…？

そんなことを思った瞬間、観客席からブーイングが。
帝国の鬼道が雷門のユニフォームを着ていることに誰もが納得できない。
ゴーグルさんは、世宇子中に再戦するために雷門へ来たことを教えてくれた。
円堂くんは信じていたようだけれど…。ゴーグルさんに変わってやる気十分だった宍戸くんはベンチへ。

円堂くんがすぐにフォローを入れてくれたけど、とても嫌な考えが胸を支配した。
この人が来なければ宍戸くんはメンバーだったのに。でもそれを言ってしまえば、元も子もない上に最適解でメンバーを構成していくのは正しい。

程なくして試合が始まり、歯車のズレた皆のプレーは少しづつそれでも大きくチームワークを崩していく。
木野さんも立ち上がり、監督の名前を呼ぶ。

フィールドの中で流れが変わる。
その瞬間、響木さんは腕時計を見た。試合が始まってからタイム取ってたの…？

フィールドを見れば細かいゴーグルさんの指示の元皆のパスが繋がり始めた。思わず笑みがこぼれてしまった。

「響木さんて人がいいんだか悪いんだかわからないですね」
「なんの事だ」
「なんでもありませーん」