自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ13)

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もう1人。ページ13

「ん〜っ！！試合だ〜！！」

気合い満点でFF会場で天に腕を伸ばして声を張りあげれば、うるせえと染岡くんに叱咤され後頭部を修也くんに軽くはたかれた。
何をするんだ、睨み付けては振り向きざまに修也くんは微笑んだ。

「Aさん、今日は調子が悪くなったらすぐに言ってね！絶対よ！」
「貴方意外と貧弱なのね」
「うっ…」

木野さんに心配され、雷門さんにこばかにされながら通路を進む。控え室は前回と同じようで円堂くんは先頭を引き締まった表情で歩いていた。
控え室に入れば、各々がロッカーへ荷物をしまい込んでいる間、木野さんは時計を確認して、そろそろ行ってくるね、と足早々と確認作業へ出ていく。

ジャージを脱いでいる皆の横で、音無さんと情報の共有。雷門さんはそんな事までしているのね、と関心を見せてくれた。しばらく時間を持て余していると、木野さんが戻ってきて練習出来ることを教えてくれる。

控え室から皆を見送れば、最後の一人なった修也くんと目が合った。
今日は掴む鞄がないからな、と思いながら修也くんの元へかけよれば、するりと手を取られて握られる。

「ひょわっ」
「変な声出すな」

ごめん。何故か謝れば、修也くんは指先を軽くマッサージしてくれた。これから試合なのは君なのでは？そう思ったことは飲み込んで。頭痛は？と心配してくれる修也くんに平気だよ、と笑ってみせる。

顔色も朝よりは悪いけど、前回よりは良さそうだなとひとまず安心してくれたようで行くぞと、控え室を後にする。

グランドへついて、アップを始める。皆の調子は上場。というか、今日まで皆気付かなかった。個人個人の実力が上がっていることに。

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シアイがハジマリません。
ベンチ。ど真ん中にどっしりと構えた響木さんが頑なにまだだ。といい早数分。ベンチの端っこで膝を組んだ修也くんと目を見合せた。
影野くんとも目が合ったような気もするけど、私にはちょっと判断ができない。

「もう一人来る」

その一点張りの言葉に、苛立ちを隠せない風丸くんと染岡くん。関心があるのか無いのか、だらんとして緊張感のない円堂くん。
木野さんが必死に審判へお願いをして早数分なので。

そういえば壁山がいない。そう声があがれば、すかさず風丸くんがすぐに来ます！フィールドに行きましょう！と響木さんを急かす。

「大会規定によりあと3分でフィールドに出ないと試合放棄と見なします」
「監督！！」
「…まだだ。もう一人くる」

監督、それしか言えないの。