自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ8)

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FF大会。ページ8

「Aさん戻ってこない…私ちょっと見てきます！」
「あ！もうすぐ始まりますから急いでくださいねー！」

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痛み止めを飲んで、数10分。皆も心配するから戻らないと、そう思うのに控え室までの道のりが遠く感じて。
壁に手を付きながら1歩1歩進む度に、足裏から脳へ向けて振動が頭痛を刺激するように。

視界が、回るように。

膝の力が抜けて座り混み、頭を抑える。激しい頭痛に、耳に響く騒音、視界を埋めつくしていく砂嵐…。
痛みに耐えきれず、降参するよう意識を手放してしまった…。

『俺達もいつか、FFで全国大会行けるかな』
『行けるよ！だっていっぱい練習してるもん！』
『皆で全国優勝しよう！日本一になろっ！Aも一緒に…！』
『ちゅーがくせーになると、女子は一緒に試合出れない…』
『え…』

モノクロな世界に色が着くように、子供たちの声が跳ねていく。
嬉しい声、悲しい声、元気な声。そして、小さいけど優しい声。

『それなら僕達でAを日本一まで連れていく』
『…それいいな！よしゃ！練習再開だー！』

いつの日か、夢に見ていた。あの小さなTVの向こうの舞台。
ぼうっと意識が混濁してまだ目が回る。何とか意識を取り戻しても、足に力な入らなくて立ち上がれない。

遠くのフィールドから試合終了のホイッスルが聞こえた。
雷門中の名前が祝福と歓喜の入り交じった声援と共に会場全体に響き渡る。

よかった。無事に勝ったんだ。
何とか壁によりかかりながら立ち上がれば、持っていたペットボトルが転がった。

あー、拾わないと。

腰を落としてペットボトルを拾い上げて歩き出せば、戦国伊賀島の選手が笑ったり泣いたり、悔しそうに歩いてきた。
会釈をしてすれ違い、控え室へ戻れば賑やかな皆の声がした。
安心して、控え室の扉を開けると笑顔いっぱいな皆がいた。

「お疲れ様、みんな」
「お疲れ様ってお前な〜！どこほっつき歩いてたんだよ」

染岡くんに叱られ、ごめんごめんと。
ちょっと迷っちゃった、と笑えば皆は納得したようで笑ってくれた。
みんなの活躍、見れなかったけど。

「木野さんには会えましたか？」
「会えてないや、探してる？ちょっとその辺見てくる」
「A！また迷うだろ」

半田くんに腕を掴まれ、引き止められた瞬間扉が開き木野さんが立っていた。開いた衝撃で額をぶつけて勢いのまま半田くんへぶつかるまでがワンセットだった。

「ごめん！大丈夫だったAさん！」
「大丈夫。半田くんは平気？」
「いや額は？」