自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ34)

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影山という男。ページ34

「監督！氷をください」
「派手にやっちゃって」

雷門さんと木野さんが続けて言えば、直ぐに氷を用意してくれた。
いつも通り、テーブル席へ座れば修也くんが向かいに座って。
円堂くんの向かいに鬼道さんが座り、カウンターに木野さんと雷門さん。

「随分と無茶をしたもんだな」
「無茶じゃないよ、特訓だよ」
「新しいキーパー技を編み出そうとしてると聞いたぞ」

響木さんの言葉に、円堂くんは魔人ザ・バンドと答えた。
監督知ってる？と聞けば響木さんはどことなく嬉しそうに答えてくれた。

「ついにお前もあれに挑戦を始めたか」
「監督はできた？」
「俺はマスター出来なかった。だが、お前ならやれるかもしれない。頑張れよ」
「おう」

円堂くんと響木さんが話していると、扉が開いて鬼瓦さんが入ってきた。
おいおい、どうしたお揃いで。と目を点にした鬼瓦さん。
ぼろぼろな円堂くんを見て、ひっでえ格好だなと本音が零れる。
世宇子に勝つにはこれくらいなんでもない。と言い切る円堂くんに鬼瓦さんは、重たい表情で……。

「威勢がいいのは結構だが。勝つことに執念を燃やしすぎると影山みたいになるぞ」
「影山に……？」
「刑事さんは冬海先生に会ったそうよ」

雷門さんがそう言えば、驚きの声が広がる。
影山を探すために冬海先生にあった、と。今までの1連全てを調べる為に影山の過去を調べるべきだ、と。

「何かわかったんですか」

鬼道さんの言葉に、話すべきかと目を閉じた鬼瓦さん。

「こいつらも知りたがってる」
「そっか…そうだな」

響木さんに言われ、出された水を飲み干した鬼瓦さんは静かに語り始めた。
全ては50年前に遡って……。

「影山東吾という男を知っているか」

鬼瓦さんの言葉に、修也くんは知っていますと答えた。
え、私は全く知りませんが……。

「昔、日本サッカー界を代表する選手だったと聞いたことがあります」
「影山の父親だ」
「え？！」

鬼道さんの言葉に思わず円堂くん、木野さんが立ち上がった。
それから鬼瓦さんは影山さんの過去を教えてくれた。
円堂くんのおじいちゃんとの因縁のことも……。

「勝つ事が絶対。敗者に価値はない。影山がよく言っていたこと」

鬼道さんがそう言えば鬼瓦さんは話を続けた。

「そのために沢山の人を苦しめた。……豪炎寺、お前もその1人」
「なに、」
「妹さんの事故に奴が関係している可能性がある」

皆が言葉を失った。

やっぱり、影山さんが関わっていたんだ。
鬼瓦さんもそう確信したんだ。