自由な君と。- 豪炎寺修也 -

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今日は始業式だよ。ページ9

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放課後。

早々に帰ろうとした私は何故か円堂くんに腕を引かれている。
鞄を持ってまたね～と手を振った瞬間掴まれたのだ、その腕を。

「木野が言ってた通りだなあ！本当に帰ろうとすんだもん」
「いやいや、今日始業式だから。本来部活動ないでしょう？」

はた、と突然立ち止まる円堂くん。釣られて私も立ち止まると、ぎこちない動きで振り向かれる。

「そう……だった……」
「大丈夫かキャプテン」

ずーーんと落ち込みながら、とぼとぼと下駄箱まで向かう。
靴を履き替えていると木野さんがぱたぱたと駆け寄ってくる。

「円堂くーん！Aさーん！今日部活ないってー！冬海先生も今日は大人しく帰ってくださいって」
「うん。始業式だもん」

クスクス笑うと久しぶりの学校でうっかりしちゃった、と照れたような木野さん。可愛い。

「ほら、やっぱ部活ねえじゃん」
「でも円堂は行こうとするって言ったろ～？」

ひょこっと顔を覗かせた男子生徒2人。
誰ですか。

「染岡！半田！」

わっと嬉しそうな円堂くんが2人に駆け寄っていく。部員かな。
後ろから木野さんも履き替えて私を追い越していく。

「あ。紹介するね」

円堂くんとは違って優しく手を引いてくれる木野さん。
背も高くて、肌も焼けてて、目つきも悪い。いかにも悪そうなその人も、何ともぱっとしない人。
3人の和に連れていかれ、染岡くんと半田くん。隣のクラスだよ、と手を出された。

握手ですか。

「俺は半田…よろしくな！」
「ふんっ」

仲良くする気がなさそうな染岡くんと好印象な半田くん。
手を差し出すのは半田くんなのだけれど、知らない人とテンポよく挨拶するのも、視線を合わせるのも苦手なもので。

すい、と。

3人の和をくぐり抜ける。

「Aさん？」
「また明日ね」

軽く手を振り4人を置き去りにして一足先に校門へと向かう。
どうにも。大勢の輪の中に居るのは落ち着かなくて。

挨拶するだけ、と言っても変に緊張してしまう。
そもそも、円堂くんのように見ず知らずの人とも仲良くなれるようなフットワークは持ち合わせてなくて、こういう時木野さんと円堂くんは優しくてあったかい、そんな人達なんだと痛感する。

「ただいまー」

靴を揃えているとぱたぱたとお姉ちゃんが駆け寄ってくる。

「おかえりなさい」

そう言うと嬉しそうにそわそわ、と何かを待っている。

「木野さんと同じクラスだったよ」
「よかった！これで1年間安心だねえ」

妹のぼっち回避を案じていたのね。

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