自由な君と。- 豪炎寺修也 -

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春。* ページ6

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あっという間に長い冬が終わった。

道いっぱいに振り積もった雪は溶け、春が訪れる。

「大丈夫Aちゃん？学校の道覚えてる？やっぱり一緒に行った方がいいよね」
「もー大丈夫だってば。お姉ちゃん遅刻するよ！」

横着がないのはお姉ちゃんの方。
濃紺の星空みたいに、艶やかでまっすぐ綺麗な髪の毛を揺らして。
くるりと振り向けば太陽の下で夜空が広がるみたい。

「今日はお迎えいくからねー！」

すっかり腰まで伸びた髪の毛をゆらゆらさせながら手を振る。

「こんでええがなー！」
「えー？なんてー？！」
「こんでええがなー！」

眩い笑顔で走っていくお姉ちゃん。

「お姉ちゃんはもう行った？」
「お母さん」

まったくもう。とその手にお弁当箱を持って。これは……お姉ちゃん気付いたら泣いちゃうね。
困ったわあ、と言いながらお姉ちゃんとおんなじ色の髪の毛を雑にひとつに括る。
新聞紙を広げてたお父さん。ちょっと後退気味だけど真っ黒な髪の毛。

私のくるんくるんとした、栗毛色。皆と違う。

お姉ちゃんでもお母さんでもお父さんでもない、

緑色の目。

「ほら、Aちゃんも遅刻しちゃうよ？今日入学式でしょ～木野さんとまた同じクラスだといいねぇ」
「あ～どうだろう、木野さん私の事覚えてるかなあ」

ローファーに足を滑り込ませ、とんとん。とつま先を鳴らして。

「いってきまーす」

春。

自分だけ、違う毛色の家族。

あれから、1度も会ってない修也くん。

どこまでも澄んで綺麗な青空に背伸びをした。

「ん～～っ！お外さいこうっ！」

やっぱり病室よりも、家よりも、部屋よりも。外がいいね。

桜並木を歩いていると懐かしい後ろ姿を発見。

「木野さん」
「わっ！Aさん！わー！退院できたのね」

よかった～！と手を握ってにこにこ喜んでくれる。
優しい。可愛い。

「うん。やっぱりどこも問題なかったよ～」
「よかった～！練習中に倒れるんだもんびっくりしたのよ」
「私もびっくりしたよ」

並んで歩き出して入院中のことを話せば、ころころと表情を変えて楽しそうに聞いてくれる木野さん。優し。

「今年も同じクラスになれるといいわね」
「木野さんと離れたら私はひとりぼっちだよ、」
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