自由な君と。- 豪炎寺修也 -

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感情の処理。ページ36

それからはよく覚えてない。
修也くんとご飯を食べて、帰ろうと玄関へ向かえば、一切自室から出てこなかった豪炎寺先生が出てきて。

目をまんまるにしてから視線を逸らした修也くんに、視界にすら入れない豪炎寺先生。

「送ろう」
「いえ！大丈夫です」
「もう暗い。それにこんな時間に1人で帰らせるのも問題だ」

フクさんと修也くんへ頭を下げて、先に外へ出た豪炎寺先生の後を追いかけた。
後部座席の扉を開けられており、先生が立っていた。
乗り込み、扉を閉めてもらって。完璧なエスコートですか？

運転席へ乗り込んだ先生へお願いしますと声をかければ、道案内を任された。
何か喋ることもないような気がして言いようのない空気感。
沈黙が痛いな、なんて外を見ていれば不意に先生から話を振ってくれた。

「夕香のお見舞いいつも来てくれてるようで……ありがとう」
「……へあ」
「ん？」
「あ！いえ！そんなお礼を言われるような事じゃないです」

手をブンブンと振って必死に否定をすれば小さく笑い声が聞こえた気がした。
娘もきっと喜んでる。そう付け足された言葉。

「私の方こそ、修也くんと夕香ちゃんに感謝してます」

勿論担当してくださった豪炎寺先生にも！と返せばそうか、と短い返事だけ。修也くんは間違いなくお父さん似だ。

「ここで大丈夫です」
「ん。今日は色々手伝ってくれたようで……迷惑をかけたな」
「いいえ。いつも修也くんにはお世話になってるのでこれくらい」

当然です、と笑い返せば複雑そうな先生は特に何も言わずにゆっくりと車を走らせていった。

一つだけ、とても気になることがあって。

フクさんも、豪炎寺先生も、私の事をどのような視点で見ていたのでしょうか。
クラスメイト？チームメイト？友達？それとも、

なんて。

私も修也くんに、この気持ちを言葉にしてない。
なんだか修也くんもそれを望んでいないような気がして。

でも、確かに修也くんの瞳はなんだか熱を帯びているように見えてしまうし。

でもでも！

何にも思ってない女の子相手にあんなに距離感近くないよね？
なんかよく頭撫でられるし！ほっぺも触ってくるよね？

というか！
今日の修也くんだよ！申し訳ないけど凄いきゅんきゅんした。どうしよう、可愛かった。あの、甘えてくる感じ……可愛かった。

お風呂上がりの修也くんもやばかった……。
髪下ろしたらあんな感じ……なのね。

1人、もんもんと今日の修也くんを振り返っては興奮して。

修也くんは天然なのか。