自由な君と。- 豪炎寺修也 -

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お夕飯。ページ35

特に反応もされずに、フクさんへジャケットを預けておそらく洗面台へと向かう豪炎寺先生。
退院以来あってないので、とても緊張する。
というか、今私はどういう立場で見られているのでしょうか。

……ま、いいか。

お茶を飲み干して、自分の鞄へ荷物を軽くまとめてフクさんへ声をかける。

「あの、お邪魔しました！」
「あら？お夕飯召し上がりませんか？」
「あっいいえ、大丈夫です」

お構いなく、そう微笑めば戻ってきた豪炎寺先生が横目で見てきた。
き、気まづい。

「……食べて行けばいい」
「へっ」

旦那様もこう仰ってますから。とにこにこと手を引いてリビングへ回収された。2回も断るのは失礼だよね……。
せめて家には連絡させてください、と電話を借りることにした。

『うん、分かった。ご迷惑おかけしないようにね』
「うん気を付ける。それじゃあ」

修也くんの部屋へお邪魔しようと、扉をノックしても反応がなく。
申し訳ないと思いながらも侵入させてもらって。

「修也くーん」

あり、寝てる。
すよすよと寝息を立てて眠る修也くん。ほっぺをつついても起きる気配がないので放置させてもらおう。

「何かお手伝いさせてください」

フクさんへ声かければ困ったように考えてから一緒に夕飯の用意を手伝わせてもらうことに。

ハンバーグの予定なんです。とにこにこのフクさん。
わあ、大好きです！と笑顔で返せば嬉しそうに笑い返してくれて。

「ソースはケチャップですか？デミグラスソースなんですか？」
「……今はデミグラスソースです」

寂しそうなフクさんの表情に、夕香ちゃんがケチャップソースが好きなのが伝わってきた。
思いの外フクさんとのお話は楽しくて、いっぱい話していると修也くんの声が。

「フクさん、タオル忘れちゃって」

振り返るとパジャマのズボンだけを履いて、まだ十分に濡れた髪に、肌を伝っていく水。

「なっ、」

お互い声にならなかった。
慌ててタオルを取りに行ってくれたフクさん。慌てて手元のハンバーグのネタを捏ね始める。

「髪下ろしてるところ……初めて見た……」
「変か？」
「ふえっ？！」

いつの間にか背後にいた修也くんにびっくりして肩が震えれば、一瞬触れた髪の毛から水が伝ってきた。

「っつめた、」

フクさんが慌ててタオルを持ってきて修也くんに渡せば、わしわしと拭き始めながらこちらを観察されるので。

「向こうでやって！凄い気になる！みないで！」
「……ふっ、すまない」

あんにゃろー。確信犯か。