自由な君と。- 豪炎寺修也 -

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空いてしまった距離。* ページ27

サッカー部に居られる。また、皆の応援を出来る、力になれる。
喜びの一心で鉄塔広場に向かった。

皆で特訓してる姿が見えて、声をかけようとしたとき…。

「A先輩、噂だとサッカー部辞めたみたいでヤンスよ」
「学校にも来てないらしいッス」

1年生の…壁山くん？と栗松くん…？が休憩してるようで私の話をしてた。1年生が集まり、わいわいと会話が弾み、私の話が広がる。

「A先輩の話？？俺知ってるよ……」

それは、私が好きな時に学校へ来て帰ってきては。
不良な人と付き合いがあるだとか、校舎裏では特に、タバコとか悪さをしている……らしいと。

「尾ひれがかなり着いてますなあ」

仕方ない事なのかな、これ。
階段にしゃがみこんでため息を1つ。校舎裏では、猫さんと戯れてただけなんです。タバコなんてしてませんよ、失礼な。

「Aの話か？」
「風丸先輩！」
「あいつなー、1年の頃から素っ気ないもんな」
「そういえば染岡は去年同じクラスだったよな」

え。そうでしたっけ？思わず振り返るけど当然姿なんて見えなくて。
でもそこに、風丸くんと染岡くんがいるのはわかった。

「おお。あいつ何回自己紹介してもちっとも名前を覚えねえし。会話なんてしたやつ居んのか？ってくらいだったぞ」

豪炎寺の方がまだ喋るわ、と付け足された言葉。
心外だな！修也くんの方が口数少ないぞ！

「皆誤解してるっ！」

木野さんの声が響いて、どよめきの声がここまで。
木野さん結構大きな声出るもんね…。

「Aさんは人見知りなだけよ！私だって最初は無視されたもん」

えっ。そうだったの？？ごめんね？！

「あの円堂くんだってもうずっとサッカー部へ勧誘してたのに無視されるし名前だってちっとも覚えて貰えなかったんだから」

…う〜ん。申し訳ないごめん、円堂くん。
心の中で謝罪をしながらちらりと覗き込む。えぇ？皆練習しよ？集まってないでさあ！

「でも、今は仲良いよな」

半田くんがタオルで汗を拭きながら寄ってきて、会話に加わった。
お願いだから、そこ掘り下げないでいいよ〜！

「実際仲良くなれたのはAさんが入院する少し前なの。それから挨拶とか名前も覚えてくれたから…なんだか猫が懐いてくれたみたいで嬉しかったなあ」

ふふ、と嬉しそうに笑う木野さん。私の事そんなふうに見てたんですか？

帰るタイミングもなくて、座りっぱなしでひりひりと痛むお尻。
そういえば修也くんどこ…？
遠くを見れば宙に飛び上がる修也くんの姿が。

何度も体制が整わなくて転倒を繰り返して……。