自由な君と。- 豪炎寺修也 -

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退部届。ページ22

それから1週間、お姉ちゃんと何となく居心地の悪い空気が続いて。
ずっと部活にも行けなくて。ついに私は退部届けを円堂くんに渡した。

「……」

驚いてから、何かを考え始めた円堂くんはただ、じっとその退部届けを見詰めていた。そして、言いかけて、飲み込んで。
ぱっと笑顔を見せてくれた。

「断る！」
「ですよね〜」
「最近休んだり帰ったり遅く来たりしてたの体調悪いとかじゃないんだな？」
「あ、いや……それは元からというかなんというか」

え？という顔をした円堂くんに何と説明をしたものか。
ごめん、円堂くん。

「飽きちゃったんだ。サッカー」

それからは、何となく皆を避けて。

「Aはー……今日も遅刻か」

「あー、1年の時も割と学校来てなかったよ？ほとんど寝てるか、居ないかだったんじゃない？」
「好きな時に来て、好きな時に帰って。ほんと、なんか自由でいいよね〜」

担任からも最初の内は口酸っぱく言われたものの、1年の時からのこともあり段々と放置されるようになった。

学校もそんな感じになってしまえば、せっかく同じ学校に通えていても修也くんと関わることも減っていって。

気が付けば席も遠く離れて、挨拶もしなくなって。
ちょっと他の人とは違った特別な友達という立場も同じクラスメイトみたいになって。

木野さんや円堂くん……修也くん。
皆と関わらないとやっぱり学校は退屈で、わざわざ行くのも煩わしくて。
帰ろう。そう決めて授業の終わりの鐘と同時に席を立つ。
鞄を持って教室を出ようとした瞬間、視線を感じて周りを見れば皆が見ていた。

「あ……えー……今日はここまでにしますね」

先生の声と共にきりーつと声が響いた。
まあいいか、と鞄を肩にかけて教室から1歩足を踏み出した瞬間

「ぐえっ」

鞄を引かれて首がしまった。もう、このやり方をするのは1人しかいない。

「犯人は修也くんだね」
「名推理だな、ホームズ」
「初歩的な事だよワトソンくん」

鞄を直しながら振り向くと、放課後迎えに行く。夕香のお見舞い行くだろう。とだけ残して席へ戻っていった。

何なのだね。

「サッカー部、次はオカルトちゅーがっこうと試合するんだって」

そんな声が聞こえた。サッカー部は無事に11人揃い、試合相手も現れて。今、軌道に乗り始めた所だ。

「ただいまー」
「……Aちゃん、ねえ、やっぱどこか悪いの？」
「そんな事ないよ、大丈夫。今日ちょっとお見舞いに行く約束してるから出かけてくるね」