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其の久 ページ9
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白い光は、彼女の背中に翼を形作り、大きな杖を作り出す。
その姿はさながら純白の天使。
神々しくもあり、妖しくもある。
「彼が私に授けた力…今の私は、誰よりも神に近い存在。最も、彼の眷属に相応しい存在」
スミシロの声は弾んでいる。
まるで新しいオモチャを手に入れた子供。
はたまた、親に誉められた幼子か。
「ああ、愛しい彼を守らなくちゃ。貴方たちの穢らわしい手が触れるなんて許せないもの」
杖を振るう。
その瞬間、雷が、植物が、炎が、水が、すべてが、四人を襲う。
「なっ!?」
「これも幻術…？」
「違うっ、これは!!」
これは本物の、神通力。
そう悟った四人。
「にょきにょき！」
即座に相葉が植物で盾を作り、それを松本の神通力で浮かせる。
間一髪逃れたが、この圧倒的な力の差になすすべはない。
「くそっ！」
スミシロを倒さねば、大野を連れ戻せないというのに。
「これじゃ攻撃できない！」
この、反撃する隙さえ与えられぬ状況でも、戦わなければ。
櫻井が、強固な蔦の籠から飛び出す。
「櫻井さん!?」
とにかく、やらなきゃ。
櫻井が言霊を紡ぐ。
「焼き尽くせ!!」
炎を一瞥して、スミシロは言う。
「勝てるわけないのに、人間は本当に愚かしい生き物ね」
「勝てるさ。勝つんだよ!!」
スミシロが、杖を振る。
「消し去ってあげるわ!!」
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作者名：諦兎 | 作成日時：2014年5月25日 0時
