神様、みつけた≪2≫ (ページ30)

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第79話ページ30

そして迎えた7年ぶりの文化祭。

お互い忙してくて二人で出かけるのも久しぶりだったし、ずっとこの日を楽しみにしていた。

「わあ、気合い入ってるね」

校門に設置された豪勢なゲートを前にし、思わず感嘆の声が出る。

私たちの時も他校より力を入れていることで有名だったが、その伝統は今でも健在なようだ。

「テンヒョン、俺たちのために特別に席を用意してくれたって」

「ええ！ほんと？なんだか生徒たちには申し訳ないけど嬉しいね」

テンは卒業とともに瞬く間に世界的なダンサーになっていった。

学校の部活という場で、あのダンスを独り占めできた自分の経験は生涯語り継ぐべきレジェンドだったと言える。

当然、今回の文化祭もテン目当ての観客が大勢いた。

生徒たちも、どうやらテンのために文化祭実行委員に立候補するような人が多発するくらいの熱量を持っているらしい。

相変わらずどんどんと飛躍していくテンのカリスマ性に奮い立たされながらも、テンが用意してくれたという席に向かう。

「あ！？クンオッパ！」

特別席として用意された何脚かのパイプ椅子に先に座っている人がいたと思ったら、クンだった。

「おお、来たんだね。Aもシャオジュンも久しぶり」

クンも卒業してからというもの、都会の方の大学に進学し、作曲家の道を歩んでいた。

連絡こそ定期的にとってはいたものの、こうして実際に会うのは随分久しぶりだった。

「俺たちもいるよ〜久しぶり」

そう言ってクンの横から顔を出したのはシャオジュンと同じクラスだったヘンドリーだ。

そのまた隣にはウィンウィン、ヤンヤンもいる。

シャオジュンと付き合ってから、狭かった私の交友関係は随分広がったように感じる。

みんな良い友人だ。

「テンオッパが来ることもシャオジュンに教えてもらわなきゃ知らなかったし、クンオッパたちが今日くるのも知らなかったよ。皆もう少し私に教えてくれてもいいのに」

「それを言ったらAだって俺に今日来ること教えてくれなかっただろ。教えてくれるのはいつもベラの活動日記くらいで」

ベラっていうのは、シャオジュンと共に飼っているわんちゃん。私たちの家族の一員。

「ベラ、可愛いでしょ？」

「それはそうだけど」

そんな会話をしているうちに、ステージ照明と音響が変化する。

いよいよテンのステージだ。

その場にいる全員が、息を呑むのがわかった。