神様、みつけた≪2≫ (ページ29)

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第78話ページ29

兎も角、堂々とダンスが出来るようになって、私もダンス部への入部を考えていたためスムーズに事は進んだ。

ダンス部のパフォーマンスでテンの顔は見たことがあったけれど、実は彼のステージを見たことはなかった。

彼は部長であるが故に挨拶なんかでよくステージの上には立つけれど、外部でのレッスンやステージに力を入れているらしく、学校では自分がステージに立つというより、ステージを指導する役割を担っているからだそうだ。

それに、『ダンス部』という存在は正直屋上で秘密裏に一人で踊り続けるしかない自分にとってコンプレックスみたいなものだった。

だからあまり自分の学校のダンス部に注目したことはなかったのだけれど。

テンオッパはダンス部に向かった私に特別にパフォーマンスを見せてくれた。

観客は私一人だけの特別ステージ。

圧巻、だった。

今まで見てきた世界がぐるりと変わってしまうような、そんな感覚。

ダンスひとつでここまで圧倒的なカリスマを発揮することができるものかと、その日から私の頭の中は『テンオッパのダンス』でいっぱいだった。

シャオジュンがそのことで暫く拗ねて、初めてかもしれない喧嘩のようなことをしたのが記憶に残ってる。

でも結局、シャオジュンもテンのことを凄く尊敬しているし、大好きなので『二人ともテンが好きである』というちょっとズレた結末に落ち着いたのだっけ。

まあそれが私達らしいと言えば私達らしいのだけれど……。

「一緒に行ってくれる？文化祭」

シャオジュンが迎えるように腕を広げて聞いてくれるので、私はYESの返事をしながらその腕に飛び込んだ。