神様、みつけた≪2≫ (ページ23)

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第72話ページ23

大会に出る前は、『優勝』という称号がなければ自分はダンスをする意味がないと思っていた。

『何の役にも立たない』と言われ続けたダンスを称号もなしに続けるのは、酷く絶望的に思えた時期があった。

もし、優勝という称号を失ってしまったら、自分には何も残らない気がしたから。

それでも、毎日炎天下の屋上で頑張り続けて来れたのは、シャオジュンとの出会いが何よりも大きかったと思う。

キラキラとした瞳で私を写し、毎日屋上に来ては私のダンスを褒めてくれた。

最初は随分照れ臭かったし、お世辞程度に受け取っていたけれど、彼の瞳はずっと真っ直ぐだった。

私が炎天下でも過ごしやすいように差し入れをしてくれたし、褒め言葉は毎日続いていた。

根負けだった。

ずっとダンスに対して否定的な言葉を浴びていたから、自分のダンスを褒めてもらうことに随分臆病になっていたのだとシャオジュンに気付かされてしまった。

素直に彼の言葉を受け取るようになってから、なんだか不思議な力が湧いてくるようだった。

同時に、何故自分がダンスにこだわるのかようやくわかった気がした。

ダンスが、何よりも好きだからだ。

太陽が照りつける屋上で、何度も同じミスばっかりして嫌になりながら必死に何度も同じ部分をやりなおす汗だくの私を、いつの日かシャオジュンは「楽しそうだ」と言った。

無我夢中になりすぎて、シャオジュンが訪れたことにも気づかず練習していて、とうとう体力がそこを尽きて地面に倒れて空を見上げたあの日、ひょっこりとその青空にシャオジュンが顔を現した。

「んぎゃっ！？」

驚いて変な声を上げた私に微笑みながら、「一旦ゆっくり休憩しよう」と冷えたスポーツドリンクを渡してくれたシャオジュン。

シャオジュンがいるなんて知らなかったから咄嗟に前髪を直そうとするけど、汗で張り付いていて鏡を見なくても自分のビジュアルが随分とひどいことがわかった。

なんだか急に恥ずかしくなって、シャオジュンにこちらをあまり見ないように言ったのだけれど。

「なんで？凄く綺麗なのに」

ってまたその真っ直ぐなキラキラの瞳で言われてしまって何も言えなくなってしまった。

そのあとシャオジュンは、楽しそうなAは一番綺麗だよ、なんてとんでもないことを言っていた。