神様、みつけた≪2≫ (ページ21)

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第70話ページ21

「シャオジュン！」

息も絶え絶えに会場に到着すると、Aは随分驚いたように目を丸くしていた。

なんだか猫みたいで可愛い。

「はあ、はあ……っ、Aの応援がどうしてもしたくて……来たんだけど……」

時計を見ると随分時間が過ぎているし、会場の外に一人彼女がいたということはもうパフォーマンスは終わってしまったのかもしれない。

「ありがとう、シャオジュン……っ！」

ガバリ、と彼女にハグをされて、思わず口角が上がってしまった。

「シャオジュナ、私ね、決勝戦に出られることになったの！」

「本当！？やった、よくやったよA！！」

本来のパフォーマンスステージはやはり終了してしまったようだけれど、決勝まで進むことが出来たAは決勝ステージを行うことができるらしい。

今は丁度それまでの休憩時間で、ひとり外の空気を吸いに来たのだそうだ。

決勝かあ、と緊張気味に溢し、少し震えていた背中を優しく抱きしめ返した。

柱と壁の隙間に入ってしまえば、誰かが通っても見つからないであろうことを良いことに、俺は長らくそうしていた。

「あっ！！！ところでシャオジュンはっ！？どうだった？！！」

ハッとしたように体を離してまたしても目を丸くして聞いてくる。

「俺は……

優勝したよ。コンクール！」

「っ！！！！

本当！？……やった！やったあ！！！」

誰よりも嬉しそうに目一杯口角を上げて、飛び跳ねながら喜んでくれる彼女が酷く愛おしかった。

「Aのおかげだよ。Aみたいに楽しもうって思ったら、いい歌を歌えたんだ」

「私も……決勝戦は楽しまなきゃ」

Aの表情が変わるのがわかった。

瞳の奥にぎらつくそれは、まさにステージで貪欲に輝かんとする表現者の目だ。

なんだかその姿がとっても眩しくて、俺は無意識に目を細めた。