神様、みつけた≪2≫ (ページ15)

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第64話ページ15

ダンスを習い始めたのは、父の影響だった。

父の友人がダンス教室を営んでいて、父に連れられて見学したのがはじまり。

父は昔、その友人にひっぱられてダンスサークルに加入。素人ながらに、学生時代はダンスをしていたらしい。

母はイベントでダンスを披露していた父を見て一目惚れしたのだそうだ。

そんなこともあり、父も母も、私が躍ることをとっても喜んでくれていた。

私自身も、不思議なくらいにステップを踏めば踏むほどダンスの魅力に落ちていった。

それでいて、誰よりも楽しそうに私のダンスを見てくれる父のことが大好きだった。

そこには笑顔の母もいて、幼き日の記憶は温かく、優しいものだった。

「正直……ダンスがお父さんのことを思い出させるのもわかってた。それでお母さんが酷く寂しい想いをしてることも。……でも、私はお父さんを思い出すことを怖がっていたくない」

「A……」

お母さんの命が限られている、という話をされて正直気が動転している。

いつもより強い口調になってしまっているのも、それが制御できないのも、いいようのない不安感だからだとわかっている。