流星群 (ページ10)

今日:32 hit、昨日:29 hit、合計:38,893 hit

ねぇ『大丈夫』だって言ってページ10

-

「Aがいると邪魔なんだよね。」

中学生の時、慎太郎のことが好きな女の子にそう言われたことがある。小学生の時からそんな女の子たちに敵意を向けられたことはあったけれど、面と向かって言われたのはその時が初めてだった。ー言ってきた女の子は、表向きでは私と仲良くしていた親友とも呼べる子だった。

「森本君と仲良くしないでよ。」

その時の私はとても幼くて、そして慎太郎に抱く感情も「大切な幼馴染」以上でも以下でもなくて、親友なのになんでそんなことを言うんだろうと思った。でも、その子は最初から慎太郎に近づきたくて私と仲良くなったんだろう。

「幼馴染だから・・」と言えば、その子は私の肩を押す。それが、イジメの合図だったのかもしれない。

次の日から親友を中心にイジメが始まった。無視は当たり前で、日によっては物が無くなることがあった。その子たちの上手いところは慎太郎にはバレないようにやってのけるところだった。そして、私が慎太郎には相談できない性格だということもわかっていたのだと思う。

「A！」
「っちょっと！ノックしてってば！」
「ごめんごめん、A様、数学のノート貸してください！」
「ええー、もう、また授業中寝てたの？・・はい、すぐ返してよ！」
「あざっす！こちら献上品です！」

学校終わり、ノックもせず私の部屋に入ってきて顔の前で手のひらを合わせて頼み込んでくる慎太郎にノートを渡す。代わりに、献上品として勉強机に置かれた私が当時ハマっていたお菓子。ーどれだけイジメられても、辛くても、家族みたいにずっと一緒に過ごしてきた慎太郎と離れるなんて考えられなかった。

私が渡した数学のノートをパラパラとめくる慎太郎を見てハッとした。私が慎太郎の手からノートを奪うのと、慎太郎のノートをめくる手が止まるのはほぼ同時だった。勢いよく奪い取りすぎて、私の手からこぼれ落ちて床に落ちるノート。床の上で広がったノートには赤い文字で「消えろ」と書かれていた。