流星群 (ページ22)

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「それで、好きって伝えたの？」
「・・ん。・・私は大事な幼馴染だってさ。」
「・・そっか。」
「・・私、幸せになれるのかな。」
「こんな美味しいうどん作れる人は、幸せになれるよ。」
「・・テキトーじゃん・・」

北斗と喋りながら温かいうどんを食べていたら、また涙が出てきそうだった。「泣きそう。」と言えば、北斗は「鼻水はもう出てるよ。」と笑いながらティッシュを寄越してくれた。鼻をかんで、またうどんを啜ったら涙が溢れた。ああ、本当にみっともない。

泣きながら、ひどい顔でうどんを食べる私を見て北斗は「ブサイク。」と言った。その顔がなぜか嬉しそうで「何笑ってんの。」と言えば、北斗はやっぱり嬉しそうに笑った。

「Aが怒るかもしれないこと言っていい？」
「・・・内容による。」
「ふっ・・じゃあ怒られる覚悟で言うわ。・・俺、初めてAが泣いてるところ見たんだよ。」
「ん、」
「それがさ、俺は嬉しいんだよ。」
「なにそれ。」
「いつか、泣くのを我慢して我慢して、Aが壊れちゃうんじゃないかって思ってたから。」
「・・もうやだ、北斗のバカ。」

溢れる涙がうどんの中に入っていく。泣きたくないのに、嗚咽まで漏れて、ぽろぽろぽろぽろ壊れた蛇口みたいに涙が出てくるのは、北斗が優しすぎるせいだ。

「前2人で見たドラマでさ、『泣きながらご飯を食べたことのある人は、生きていけます』ってセリフあったよね。」
「・・ん。」
「あれ、いいセリフだよね。」
「・・うん。」
「また今度一気見しよっか。」
「・・うん。」

私の短い返事になんの文句も言わず話し続ける北斗の話し声は、優しい雨みたいだって思った。優しくて、心地よくて、切なくて、やっぱり泣けた。グスグス、と鼻を鳴らしながら、この心の傷がいつ消えるのかわからないけれど、きっと私は北斗と一緒に食べたいつもより塩味がきいたうどんの味は忘れないだろう。