流星群 (ページ17)

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「大丈夫ですよー、お疲れ様です！」
「悪いな。また連絡する！」

電話をしながら、お疲れ！と忙しなく帰っていく酒井さんを見送って、また帰りの準備へと移る。そういえば家の冷蔵庫の中身がほぼ空だった。スーパーに寄って行こうかな、と考えながら楽屋を出ると「あれ！Aちゃん！」と声をかけられた。

「あ、お疲れ様です。」
「最近テレビ良く出てるねー、この後も仕事？」
「ありがとうございます！今日はもうこれで終わりですね。」

話しかけてきたのは、前出させてもらった番組のディレクターさんだった。番組自体は面白かったけれど、よく話しかけてきて、お酒の席に誘ってくるこの人があまり得意ではなかった。そんな人にスケジュールを言ってしまったところで、やってしまったと頭を抱えたくなった。どうかただの世間話のネタでありますようにと願うもすぐにそれは打ち砕かれてしまう。

「じゃあ飲みに行こうよ！また番組呼びたいと思ってるし！」

えーっと、と返事を言い淀んでいる私を無視して、スマホを取り出して「Aちゃん何食べたい？寿司とか？」とお店を調べ始める。モデルの世界でもご飯に誘ってくれる人はいるけれど、テレビに出させてもらうようになってこういうことが増えた。いつもは酒井さんが上手いこと断ってくれたけれど、酒井さんはいない。まさかスーパーに行きたいからで断れるわけないよな、と断る理由を考えても上手い理由が浮かばなかった。

「何時がいい？このまま行っちゃう？」という質問を聞きながら、ズキズキと頭がまた痛み始める。笑顔を浮かべながら、さりげなくこめかみに手を当てると、刹那、「お疲れ様です！」という大きな声が聞こえた。